「野菜の会社」成長の種仕込む 農業法人と連携、調達力強化 カゴメ次期社長 山口聡氏

カゴメの次期代表取締役社長に来年1月1日付けで山口聡取締役常務執行役員が就任。野菜事業本部長兼ベジタブル・ソリューション部長も兼任する。寺田直行現代表取締役社長は代表権のない取締役会長に就任する(一部既報)。

2025年の長期ビジョン「トマトの会社から野菜の会社に」の実現に向けて、中期経営計画の推進を加速するため経営強化を推進中のカゴメだが、トップ交代について寺田氏は「社長就任当時から任期は6年と決めていた」とし、「狙いは会社を変えること。役員も社員も慣れてしまうと変えられない」と交代を決めた。「野菜の会社になるには、これまでの延長線ではできない。研究開発の知見や技術を活用した変革、イノベーションが必要で、山口さんはその資質と経験を備えており、組織をまとめる求心力もある」と言う。

しかも代表権をもつ役員が2人では社内や得意先が混乱するとし自身は代表権をもたない会長に就任。一般的には社長が後任を指名するが、同社は8月の報酬・指名諮問委員会で社長候補を決め、より透明性を高めた。

山口新社長は、今までの収益構造改革と働き方改革の2改革は継続するが、「更なる成長の種を仕込む」。それには強みである「種子から食卓までワンストップで価値を創造できる垂直統合型の企業」を生かす。「品種開発や種・苗の生産、栽培、加工、最終商品の製造、市場における需要創造まで、バリューチェーン一つ一つを自社で保有している。これを強化し競合にはない価値や競争力を高める」。トマトでは既にバリューチェーンを展開しているが「野菜は加工体制、供給体制が十分ではない」と認識。調達では農業生産法人との連携を図り、農地や品種、機械化を進める。

2015年から3年間、イノベーション本部長に就任したが、社員の提案で実現した野菜摂取の充足度を表示できる機器「ベジチェック」のレンタル・リース展開などコトビジネスを中心とした健康事業を推進。地域野菜の発掘では、北海道産野菜を使ったトマトピューレなど計画。「こうした取り組みが塊になれば大きい」。食品事業では機能性表示食品を再度拡大し、野菜飲料のアジア展開も検討している。

なお寺田氏は、今後は社会課題解決に関わる取り組みを推進。府県との包括協定の取り組みのスピードを上げ、「こども食堂」も展開する。