チルド麺、北海道から全国に 持続的成長する企業へ 菊水 杉野邦彦社長

チルド麺メーカーの菊水は“日本最大のローカル”である北海道を強みに、全国に広く販売網を広げてきた。今年は創業70周年を迎え、次なる100周年に繋げるために生産体制の新たな検討、会社づくりの礎となる人材育成に力を入れる。杉野社長に近況を聞いた。

――昨年は北海道胆振東部地震の影響があり、厳しい経営を強いられたのでは。

9月に台風21号が北海道に上陸し、その夜に地震が発生。直後2日間にわたって北海道全域が停電する未曽有の出来事が重なった。地震発生時に工場稼働中だったこともあり、生麺廃棄72t分を含む損害額は1億7千万円に及び、さらに工場が完全に稼働するまで1か月を要した。一時的に販売は激減し、特に道内は消費マインドが冷え込んで小売店の販売額が減少、当社の地区売上高は96%に落ち込んだ。幸い上半期の貯金があり、また当社が業界シェア3位の生ラーメン群は104%、シェア1位の素材ラーメンは新商品の細切り麺が牽引。前3月期は減益も売上高は105%の増収になった。

――今季の状況は。

業界では11年ぶりに価格改定に踏み切った。人件費やユーティリティコスト上昇が、自助努力での吸収に限界となり当社でも4月に実施した。

市況をみると100世帯当たりの4~6月購入額は、チルド麺全体で94.17%と冷夏の影響で苦戦した。一方、当社の第1四半期は、5月は道内の気温が高かったが、冷夏の影響を受け、かろうじて101.4%で踏ん張った。7月はさらに前年の反動もあり本州地区は95%に落ち込んだ。

当社では①事業規模の拡大②効率化と競争力強化③経営基盤の強化――を掲げ、基本は労働力確保とさまざまなコスト増加、増税など環境変化に対応するべく全員が前を向いて力を発揮したい。

――競合他社は“水でほぐすだけのチルド麺”を強化していますが。

日持ちの点でも配送コスト面でも当社が販売するには課題が大きい。とは言え、北海道だけのマーケットサイズでは専用ラインを導入するに見合わない。ただ簡便調理や即食性に対するニーズは今後も高まると思われ、当社が得意とする生めん、LL麺で対応できる商品開発を進めていく。

――中長期計画と新工場プランの進捗状況を。

市場環境が変化する中で対応した検討が必要でコンサルタント会社を入れて取り組んでいる。本社工場では生ラーメン製造は道内最大規模であり、生産量の半分以上は本州に配送する。そのコストを考えると、本州に拠点を持つパターンも視野に入れている。今後最大の課題は安定した労働力の確保であり、省人化や生産効率向上を含めて投資に反映させたい。

今年は創業70周年の節目を迎える。これまでの集大成よりも100周年に向けて地域や社会に役立つ企業として人を育て人と一緒に育つ企業として前を見据えて取り組む。よい人がよい会社をつくり、よい社会をつくる。100年に向けてよい人を育てていきたい。