もち麦、潜在ニーズは絶大 成長分野で「国産」訴求 マルヤナギ小倉屋 柳本一郎社長

マルヤナギ小倉屋は市場が拡大している蒸し豆・もち麦のカテゴリーに、新ブランド「マルヤナギwith日本の農家さん」を投入する。成長分野に国産原料という価値を付加し、さらなる需要の拡大を図る。同社は7月に兵庫県加東市と提携を結び、希少な国産もち麦の生産拡大へ布石を打った。「もち麦は蒸し豆以上の市場に育つ」と強調する柳本一郎社長に話を聞いた。

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――加東市と連携協定を結んだ経緯を教えてください。

柳本 当社は15年前に蒸し大豆の販売を始め、5年前からはもち麦の開発育成に努めてきた。もち麦はブームが続くかたわら、原料のほとんどが海外産で数少ない国産は異常な高値となり手に入りにくい状況だった。何とか国産化できないかという中で、加東市との縁がありJAみのりの協力を得て17年から契約栽培をスタートさせた。

加東市は酒米・山田錦の産地として知られるが、それに次ぐ特産品がなかった。手間暇をかけて新しい産物を作っても、農家が利益を出すのは容易ではない。そこで、われわれがきちんとした価格で買い上げ、付加価値のある商品を作って売っていくことが大事になる。

今回の連携は農業の振興と地元経済の活性化、そして市民の健康につながるものになると期待している。人口4万人の町で、こんなにもち麦を食べるのかと言われるような状況を作っていきたい。

――蒸し大豆は順調に市場が伸びていますが、もち麦の方はいかがですか。

柳本 蒸し大豆は今期も当社で前年比1.4~1.5倍で推移している。加東市の社工場内に蒸し豆専用の新工場を来春稼働させる予定で、生産量の倍増を目指す。

一方、もち麦の売上げはまだ蒸し大豆の1割程度だが、潜在ニーズは強く蒸し大豆の比ではないぐらい、大きな市場に育つとみている。

――その理由は何ですか。

「スープで食べるもち麦」(マルヤナギ小倉屋)
「スープで食べるもち麦」(マルヤナギ小倉屋)

柳本 当社はもち麦をスープで食べる提案をこれまでも行ってきた。今回の新ブランドでは、6品のうち3品が粉末スープを添付した「スープで食べるもち麦」だ。

もち麦は通常、米飯に何割か混ぜて食べられることが多いが、この商品はもち麦だけをオリジナルスープでおいしく食べる商品。お湯を注ぐだけで簡単に食べられるので、時間のない朝食に適している。この商品で、ご飯やパン、グラノーラなどの巨大な朝食市場のうち1%でも獲得できれば大きい。

また、ご飯と比較してカロリーは半分、糖質は4割、そして食物繊維は10倍と健康面からも強くアピールできる。

――蒸し豆やもち麦が拡大の一方、主力商品である佃煮や煮豆の市場は伸び悩んでいます。

柳本 例えば蒸し大豆は青果売場、豆のデザート「豆ふるる」は和菓子コーナーなど、カテゴリーを超えた売場展開や他の食材と絡めたメニュー提案が進んでいる。佃煮や煮豆においても、こうした取り組みを積極的に広げていくことが大事。何もしなければ縮小するだけだ。

また、当社では昨年に続き、今年も9月から11月末まで食物繊維をテーマにしたキャンペーンを行う。昆布や大豆をはじめ、さつまいも、蕗、もち麦など当社の主力商品の多くは食物繊維を豊富に含んだ素材を使っている。

食物繊維の不足は現代の食生活における重要な問題の一つであり、実際にこうしたアピールを行うと反応が強く、気にしている人が多いことが分かる。このキャンペーンが消費者の問題解決とともに、縮小傾向にある佃煮・煮豆市場の回復にもつながると期待している。