酒税改定見据え戦略 長い目で酒の価値伝える イオンリカー

ワインを中心とした酒類をイオン店舗で展開するイオンリカーは22日に開いた事業戦略発表会で、洋酒・日本酒・ワインといった「お酒を楽しめる部分の底上げに努力する」(神戸一明社長)という戦略を明らかにし、消費増税といった直近の課題に対応するだけではなく、「長い目で見て、お酒の価値を分かってもらいたい」(同)という。

今後の戦略に影響を与えたのは、来年10月から26年まで段階的に続く酒税改定だ。ビール業界が26年ビール類酒税一本化に向けて狭義のビールを主力とした戦略を採る中、税額が変わらないウイスキーや減税となる日本酒に注力する考えだ。

消費増税の影響について神戸社長は「希望的観測も含めて、仮需と反動でプラスマイナスゼロ」とみる。「増税は残念だが、最需要期を外した増税だ。強みを出せる機会でもあり、全体では前年をクリアしたい」(神戸社長)と語る。ビール類は買い溜めしやすいため反動からの回復は鈍いと予測するが、「ワインや日本酒の回復は早いだろう」(同)とみる。

25年に25店舗の展開を目指す直営店は嗜好性が強いカテゴリーのため一定以上の売場面積が必要といい、30坪ほどの店舗を閉店する一方で70坪以上の新規展開を図っているが、物件が見付からず計画は遅れているという。

ワインはこれまで直輸入比率8割ほどで売場を構成、業界トップの小売実績を誇るまでに至り、「この成功体験をウイスキーでも実現したい」(同)という。販売する輸入ウイスキーのうち、現在のところ品揃え直輸入比率は15%だが、これを来年度には30%にする方針。現在は月4万本ほどの販売を年間50万本にまで高める。

スコッチでは980円均一商品も登場させた。高額品でも2千980円、3千980円といった市場を下回る均一価格商品群をクリスマス頃までに展開する予定だ。

日本酒ではさまざまな蔵元と正規代理店契約を結び、直取引を行うことで鮮度を保ちながらリーズナブルな価格で展開。今は月2万本強が売れているといい、年間30万本にまで引き上げたい考え。

また、ワイン市場で進む20~30代のワイン離れを課題ととらえ、さまざまな訴求を図り、ブランディング施策を展開する。同社のワイン専門家100人が選んだ直輸入品6品を全店で販売。11月には東京・天王洲アイルで2回目となるワールドワインフェスを開く。9か国26生産者を招き、ブースごとに翻訳機「ポケトーク」を置くことで来場者と生産者が直接交流できる仕掛けを施し、即売も行う。また1本当たり480円相当の輸入ワインを3本1千円で販売することで裾野拡大も目指す。

さらに紅茶などのフレーバーをつけたシードルベースの商品を11月に投入。「度数4%で、気軽にリラックスして飲んでいただける」(ワイン事業統括部加藤修一氏)と話す。

10月4日公開の映画「東京ワイン会ピープル」にも協力。若年層に向けて映画オリジナルのオーガニックワイン2品を発売する。

ワイン業界の持続可能性に向けても取り組み、オーガニックなどの自然派ワインの品揃えも大幅に拡充してサステナビリティに取り組むワイナリーを応援。20年には自然派ワイン売上構成比10%、100品目へ、25年には30%、200品目へ拡大する予定。ボージョレ・ヌーヴォーでも自然環境に配慮した栽培と醸造について審査する「テラ・ヴィティス」をクリアした商品を投入する。