“もの作り”に志を

10連休の半分は病院で過ごした。老眼が進行しても活字好きは変わらないから、入院前に持ち込む本を吟味した。予定は1週間から十日。最低十冊は必要か。すぐに決まったのは弊社発行「環境対応業」を含め九冊。だが、最後の一冊が決められず適当な新書を鞄に入れた。

▼入院生活は快適で読書三昧だったが、悔いが残ったのは件の新書・日経プレミアシリーズ「人事と出世の方程式」。最初から最後まで詰まらなかった。通常なら放り出すが、読む本がもうないから仕方ない。「自分を持たないサラリーマンが、自分を持つ必要に迫られている」なんて下らない結語まで読み、情けない思いをした。

▼そもそも新書はそれなりの設立趣意が奥付けあたりに挟まっている。岩波新書も中公新書も「うーむ」と唸らされるような高邁な精神が綴られているが、この本にはそれがない。出版不況の中、書店の棚を占有したいという思いだけだ。

▼出版業界と同様、食品業界は令和の時代に入っても厳しい。厳しいからこそ手練手管も必要だが、それでも“もの作り”には志が必要だ。