JR東日本クロスステーションは夏場の最需要期に向けて、23年と24年に得られた教訓を活かし、ミックス自販機のアイテム率向上と欠品防止の両立を図る。
2023年夏は、需要に対して供給が追い付かず、欠品するアイテムが多発。24年夏は、欠品を防止すべく、24年には自販機1台(36コラム)あたりのアイテムの種類を減らし、ミネラルウォーター・茶系飲料のコラム数を増加。その結果、欠品を減らすことができたものの、アイテムを絞り込んだことでミックス自販機ならではのバラエティという強みを活かしきれなかった側面も浮上した。
今夏は、36コラムそれぞれに異なる商品を装填するアイテム率の向上を目指しつつ、気温上昇に伴いミネラルウォーターや機能性飲料などの売上げが著しく増加するロケーションでは、需要の高い商品のコラムを複数設定して欠品防止を図る。
アイテム率を高めると、売れ筋商品の装填可能な量が減り欠品を起こしやすくなる。これを補完するものとして、主要駅には冷蔵保管庫を設置している。
通常は、常温で商品を補充してから冷却までに3時間程度要し、その間は売れ切れランプが灯る。
冷蔵保管庫から補充することで、即販売あるいは売れ切れランプ点灯時間の短縮化が可能となり、売れ筋商品のチャンスロス防止につなげる。
チャンスロス防止のためには、お盆などの繁忙期に一部の駅で、深夜オペレーションも実施を検討している。普段の充填は、駅が混雑する時間帯を避け昼から夕方にかけて行われる。そのため、夜に売り切れた商品を深夜に補充し、翌朝からまた販売を可能とする。
訪日外国人が増加し、子どもの夏季休暇期間中は利用者が増えるため、駅利用者の安全に配慮したオペレーションも心がける。
商品施策としては、自社ブランド「acure made(アキュアメイド)」の主力アイテムとなる100%ストレートりんごジュース「青森りんご」シリーズの原料となる青森りんごの供給がタイトになってきていることから、100%ストレート果汁ではない果汁飲料などの展開を模索。
この考えのもと、3月4日には「キウイ炭酸」と「沖縄パイン」を新発売した。
「キウイ炭酸」は、果汁10%未満の低果汁炭酸飲料。えひめ飲料とのコラボレーション商品で、愛媛県産のキウイ果汁と炭酸を掛け合わせた。発売以降、30代以上の女性を中心に好評を博している。
「沖縄パイン」は沖縄県産パイナップル果汁を20%使用しており、パイナップルの味わいが支持を集めている。
同社自販機のカテゴリ動向は、果汁飲料や野菜飲料が苦戦する一方、緑茶飲料とその他茶飲料。その中で「アキュアメイド」ブランドでは昨年リニューアル発売した「日本の茶事」と「信州そば茶」が好調に推移している。
今年で6年目の展開となる「From AQUA天然水ゼリー(515g)」も好調を維持。今年は3月11日に新商品「From AQUA天然水ゼリー マスカット風味(280g)」とともに発売開始した。

話題づくりとしては、JR東日本の東京駅改札外で地産飲料商品のみを集めた自販機を5月28日から展開している。
ラインアップは6月末時点で、「青森りんご」シリーズなどの280ml入りストレート果汁飲料やその他果汁を含む飲料6種と、500ml入りの「塩&柑橘」「信州そば茶」の計8品。季節に合わせ、商品は順次切り替えていく予定となっている。
秋冬の新商品は、エキナカ自販機ならではの飲料を計画している。
2023年から展開している、季節やイベントに合わせてコンセプトを設定し飲料のみならず冷凍食品など様々な商品を取りそろえる「event acure(イベントアキュア)」では、JR新宿駅の 「キッコーマン豆乳自販機」が人気を集め成功事例となっている。
当初、10月2日から12月23日までの展開を予定していたが、好評につき延長に延長を重ね、現在も販売している。
人気の理由は、多彩な「キッコーマン豆乳」商品を全36種類並べた新奇性にあり、複数購入や即飲以外の需要も取り込めている。
こだわりの干物を販売するJR熱海駅の「伊豆網代の冷凍干物自販機」も好評。今後、ラッピングをリニューアルして磨きをかけていく。
前期(3月期)売上高は、夏場の苦戦を冬場のホット商品の好調で補い微増。
冬場は、各ロケーションやタイミングに応じて、コールドからホットへのコラムの切り替えを段階的によく行ったことが奏功した。「アキュアメイド」商品では、ぶどうを使った温かい果汁飲料「HOTぶどう」が好調となった。
今期滑り出しは、4月と5月が週末の降雨や低温傾向で苦戦したものの、6月以降は高温傾向で夏に向けた売場づくりが奏功し、好調な実績となった。