「ブレンディ」スティックコーヒーや「ちょっと贅沢な珈琲店」レギュラーコーヒーなどを製造するAGF関東(群馬県太田市)は近年、次世代のファンづくりに注力している。
とりわけ地元・太田市での次世代のファンづくりに重きを置く。
取材に応じたAGF関東の橋本琴絵さんは「群馬県太田市にAGF関東という会社があり、工場見学に留まらず、出張授業や出張コーヒー教室を行っていることを知っていただきたい」と語る。
AGF関東では、かねてから工場見学を実施しており、個人と団体で受け入れを行っている。そうした中、太田市の小・中学校からの申込み以上に、高崎市や前橋市、近隣県の学校からの申込みが多く、少し距離間のあるエリアからバスで一日かけて行う社会科見学の行先として選ばれている。
近さを活かして太田市での認知を拡大し次世代との接点強化を図るべく、現在取り組んでいるのが出張授業。
「太田市内各校のほか校長会や教育委員会にも提案させていただいている」と述べる。
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出張授業が開始されたのはコロナ禍の2020年度(2021年2月)。
工場見学の休止を余儀なくされた中、「我々が出向いていって何かできることはないか」との発想から、手探りでAGF関東ならではのコンテンツを考案し、これまでに太田市の小学校7校と計29回にわたり出張授業を手掛ける。今年の1月15日には、太田特別支援学校の中学生に向けても実施した。
コンテンツは「AGF関東について」「コーヒーについて」「SDGsについて」の3カテゴリに大別され、計13項目を用意。学校の要望に応じ、学校側に13項目の中から5項目ピックアップしてもらってから組み立てていく。
「 “コーヒーができるまで”がオーソドックスな内容だが、学校によっては“物流や流通に重きを置いてほしい”や“工場内の衛生管理について教えてほしい”といったご意向があり、ご要望は本当に多岐にわたる」と橋本さんは説明する。
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AGF関東ならではの特徴は、製造現場からの中継となる。
これまで数々の中継を担当したAGF関東の青木和美さんは「撮影した動画が児童や生徒にどう映っているのか確認できないため、録画機能を見返して改善を重ねている。映像酔いを避けるため、カメラワークが激しくならないように心がけている」と語る。
中継は、通常の工場見学では立ち入ることのできない場所で実施し、躍動感のある映像を映し出す。リアルタイムで教室からの質問にも応える。
「出張授業では、中継で普段の工場見学では見えないところまで見てもらえるのがメリットだと思う。その後、工場見学で実際に動いているところを見てもらうのが理想。出張授業をきっかけに工場見学を申し込んでいただけるとすごく嬉しい」という。
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工場見学はコロナ禍の休止期間を経て昨年6月に再開。工程見学ほか、インスタントコーヒー水溶性実験やミル挽き体験を用意し、「ブレンディ」スティックなどの商品のお土産も準備している。
今期(3月期)の工場見学の来場目標は5000人。昨年12月までに3380人が来場した。
2月には、AGF関東から至近にある世良田小学校の5年生が工場見学を予定する。
世良田小学校では3~6年生を対象に出張授業を複数回実施している。
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12月17日の出張授業でも、毎回子供たちから好評なインスタントコーヒー水溶性実験やミル挽き体験を用意。生豆と焙煎豆を見比べる時間も設けた。
「生豆の匂いがあまりにもコーヒーの香りとはかけ離れているため、匂いを嗅ぐだけでも、反応が大きく、子どもたちにとっては新鮮な体験のようだ」と振り返る。
出張授業を体験した団体を工場見学に受け入れる場合、体験が被らないように、工場見学ではコーヒー染め体験など別の体験を用意する。
橋本さんと青木さんが所属する総務グループ広報係では工場見学の対応が業務の8割を占める。残りの2割で、出張授業と、行政センターなどを対象においしいコーヒーの淹れ方などを伝える出張コーヒー教室を行っている。
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出張授業は、総務グループ広報係の5人が、講師役・中継役など、ケースバイケースで担当を変更して対応。地域貢献とAGFのファンづくりに向けて、今後もコンテンツに磨きをかけ提案を強化していく。
現在、大泉町、足利市、伊勢崎市、深谷市の小学校にも出張授業の提案をしており、太田市周辺へも活動を広げている。
また、今年に入り、公式ホームページを刷新。AGF関東とAGF鈴鹿の工場見学の内容や、出張授業などの詳細について分かりやすく伝えている。
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