海外で日本の喫茶文化を発信するキーコーヒー 柴田裕社長が現地に赴き率先垂範 フィリピンに新拠点

 キーコーヒーは国内に留まらず海外でも日本の喫茶文化を発信している。

 日本の喫茶文化と喫茶店の応援が目的。

 再び高まりつつあるインバウンド需要を見越した動きでもあり、とりわけ喫茶文化への関心が高いとされる東南アジアに照準を合わせている。

 同社は2030年を見据えたメッセージとして「珈琲とKISSAのサステナブルカンパニー」を掲げる。

 この中の “KISSA”には 日本の喫茶文化を外国人に向けた発信として、“茶を喫する”という想いが込められている。

「KEY COFFEE 三越BGC店‐KISSATENキッサ‐」で挨拶するキーコーヒーの柴田裕社長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「KEY COFFEE 三越BGC店‐KISSATENキッサ‐」で挨拶するキーコーヒーの柴田裕社長

 7月21日、日本の喫茶文化の新たな発信拠点として、フィリピンの国際都市ボニファシオ・グローバルシティ(BGC)に「KEY COFFEE 三越BGC店‐KISSATENキッサ‐」がグランドオープンした。

 この日、同店に訪れた柴田裕社長は、現地の店舗関係者、店舗で働く従業員に向けて「キーコーヒーは103年の歴史がある。私の夢はコーヒーと喫茶文化を世界中に広めることであり、『三越BGC店』がフィリピンと日本の友好とパートナーシップの“架け橋”になることを願っている」と挨拶した。

 同店はフィリピン初となるキーコーヒーのブランドショップ。大型商業施設「MITSUKOSHI BGC」1階に位置し、人通りの多い目抜き通りに面していることも手伝って2月24日のソフトオープン以来連日盛況だという。

 「日系企業のキーコーヒーが現地代理店と協力し、日本文化である喫茶店をコンセプトとした店舗を出店したということで話題になり、SNSでもたくさんの投稿がされていた。実際に訪れてお客様をみていると、多くのお客様がコーヒーやアレンジドリンク、日本食メニューなどを楽しまれていること、また、従業員の皆様が明るい笑顔で接客(“おもてなし”)をされている姿を目の当たりにし、KISSA文化が海外で広く受け入れられていることを実感した」と同行したキーコーヒー経営企画部広報チームリーダーの田口勇治さんは語る。

目玉のハンドドリップ - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
目玉のハンドドリップ

 ドリンクとフードは全般的に、喫茶文化や日本の食を前面に押し出した品揃えとなっている。

 コーヒーは、ハンドドリップで淹れるレギュラーコーヒーを目玉とする。

 「フィリピンでは3in1(スリーインワン)と呼ばれるプレミックスコーヒーが主流だが、特に若年層に向けてレギュラーコーヒーの良さを伝えていきたい。フィリピンは若年層の人口が多く将来的に成長の可能性が高い」とみている。

 同店で本格コーヒーをトライアルして家庭内のリピートにつなげるため物販も充実させている。

目玉のハンドドリップ - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
目玉のハンドドリップ

 日本のキーコーヒー直営ショップで販売されている10種類以上のコーヒー豆や「ドリップ オン」シリーズを中心とした家庭用商品を販売し、ドリッパーやサーバーの抽出器具も取り揃えている。

 本格コーヒーを訴求する一方で、来店客によるSNSでの発信を狙い、クリームソーダや抹茶イチゴラテやラベンダーティーなど見栄えのするドリンクメニューも多彩に取り揃える。

 クリームソーダなどの提供にあたっては、純喫茶を意識し、日本で20-40代の女性からの支持を集めて人気急上昇中の食器ブランド「アデリアレトロ」を一部メニューで導入している。

うどん - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
うどん

 フードは、和食を中心に、たまごサンドやうどん、焼きそばといった喫茶店の定番メニューをラインアップ。

 「全般的に日本人好みの味で、日本で出しても引き合いが見込めるメニューばかりとなっている。フィリピンの方の嗜好を意識して香辛料を使われていることもない」と説明する。

 「三越BGC店」の開業・運営には、フィリピンのキーコーヒー販売代理店Booster Foods,Inc社が協力している。

 スタッフへのハンドドリップなどのトレーニングは、コーヒー鑑定士の資格を持つキーコーヒーの藤田靖弘さんらが現地に赴いて行われた。「習得には時間を要するが、現地スタッフのやる気と集中力には目を見張るものがある」という。

インドネシア・トラジャ地方を訪れる柴田社長(中央) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
インドネシア・トラジャ地方を訪れる柴田社長(中央)

 柴田社長は、文字として情報発信するだけでなく、実際に現地へ赴き「珈琲とKISSAのサステナブルカンパニー」のメッセージを直接伝えることを大切にしている。

 キーコーヒーは、1970年代からインドネシア・トラジャ地方で直営農園を運営し、周辺の協力生産農家に対しては品質と生産量向上を目的とした栽培・精選指導や生産者支援に向けた各種取り組みを進めており、「トアルコ トラジャ」は今年発売45周年を迎えた。

 昨年11月にトラジャ地方で開かれた10回目の「KEY COFFEE AWARD」では、柴田社長が協力生産農家に向けて現地の言葉で「私たちはコーヒーを一緒に作る仲間」と感謝の意を伝え、マカッサルに新設された焙煎工場にも足を運び、インドネシア国内でもコーヒーの魅力を発信していくことを伝えた。

KEY COFFEE AWARDで協力生産農家に向けて現地の言葉で感謝の意を伝える柴田社長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
KEY COFFEE AWARDで協力生産農家に向けて現地の言葉で感謝の意を伝える柴田社長

 

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