牛乳を注ぐだけでできるクリーミーなデザート飲料 濃縮飲料とはまた違う「ブレンディ」スティック新シリーズの強みとは?

 味の素AGFが3月1日に新発売した「ブレンディ」スティック クリーミーアイスシリーズ(以下、クリーミーアイス)は、前身の「冷たい牛乳で飲む」シリーズにさらに磨きをかけて、スティック1本に牛乳を注いで混ぜるだけでクリーミーなデザート飲料が楽しめるように仕立てられている。

 前身商品では、春夏の飲用に向けて清涼感の要素を盛り込んでいたが、「クリーミーアイス」では清涼感の要素よりも、中身・パッケージともに嗜好性への訴求にフォーカスしたものになっている。

 この刷新の決定打になったのは、事前に実施した消費者調査から浮かび上がった“クリーミー”のワードとなる。

 刷新の旗振り役を務めた坂本今日子さんは「トライアルされた方は “クリーミー”のワードから想像される味わいや情緒感に惹かれて購入されていることが分かった。このワードは通常『ブレンディ』スティックを飲用するユーザーにも刺さっており、通常商品とは違って春夏のスイーツ感覚で飲まれ、秋冬に再び通常商品に戻っていく傾向が見て取れた」と説明する。

 このような見立てから、シリーズ名にも“クリーミー”のワードを盛り込むなどして嗜好性を前面に押し出してリニューアルを行い、さらなる成長を目指していく。

 前身の「冷たい牛乳で飲む」シリーズは、2020年の立ち上げ以来、右肩上がりに成長して昨シーズンもプラスで着地したものの、トライアル層のさらなる獲得を目指したい想いがあった。

 「夏場にアイスコーヒーなど、アイス飲料を飲む割合は年々増えている一方、スティックのアイス飲用比率は全体の1割に留まっている」という。

 トライアルを阻む要因としては、牛乳にさっと溶けることがイメージしにくい点が挙げられる。これについては毎年改良を重ね溶けやすさを追求する一方、コミュニケーションでは溶けやすいという機能面よりも、クリーミーなおいしさを前面に訴求することでトライアルを促していく。

 今回の「クリーミーアイス」も前身商品と比べクリーミングパウダーを改良し、溶けやすさとともに牛乳と混ぜたときのコクを強化した。

 「クリーミングパウダーの主成分は油のため通常であれば冷たい飲み物には全く溶けず分離してしまうが、それを溶かす技術を親会社である味の素の技術も共有することで常に磨き続けている」と述べる。

 この独自価値のクリーミングパウダーで、ペットボトルやポーションの濃縮飲料(コンク)との棲み分けを図りミルクメニューで最大限に強みを発揮していく。

 「濃縮飲料にも汎用性の幅広さといった強みがあるが、やはりスティックの強みとしては、クリーミングパウダーと牛乳を合わせたときに出せる圧倒的なコクで、甘さも含めて引き立たせてくれる」と胸を張る。
ラインアップは「アイスカフェオレ」「アイスキャラメルオレ」「アイスココア・オレ」「アイス抹茶オレ」の4品で、流通からの引き合いは総じて上々だという。

 ボリュームが最も大きいのは「アイスカフェオレ」で、次いで「アイスココア・オレ」が上位に入る。

 商談で最も脚光を浴びているのが新商品「アイスキャラメルオレ」で、AGFの研究所で長年蓄積されているキャラメルフレーバーの知見を活かして開発された。

 「冷たい牛乳に合うキャラメルフレーバーはどんな味だろうと検討を重ねた結果、濃厚な甘くて香ばしいキャラメルの味わいに辿り着いた」と振り返る。

「ブレンディ」スティック クリーミーアイスシリーズ - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「ブレンディ」スティック クリーミーアイスシリーズ

 パッケージは4品とも嗜好性に重きをおいたデザインに刷新。「クリーミーさが伝わるように、パウダーが溶け合う寸前の“ミルクだまり”をみせるようにした。そのためグラスにもこだわり、従来の四角から丸っこいフォルムのグラスに変更した」。

 加えて、味わいを直感的に想起してもらう狙いから、グラスの背景にうっすらとスイーツが写り込んでいる。「アイスキャラメルオレ」にはバターサンドといった具合に、それぞれのフレーバーに合わせてスイーツが選定されている。

 メインターゲットは、20、30代女性。その中でも子育て中の方を意識している。

 「スティック市場全体では30、40代が一番のボリュームゾーンになるが、アイスシリーズに限っては20、30代がかなり多いということが判明している。お子様が小学生くらいだとご家庭に牛乳が常備される傾向にあることから親和性がある」との見方を示す。

 訴求にあたっては、ミルクの多様化にも対応し、パッケージ裏面では豆乳やアーモンドミルクにも好適であることも記載している。

 コロナ禍による在宅ワークの浸透で、ボリュームは限定的だが、甘いもので癒されたい男性層の支持も着実に広がっているという。

 「従来、缶コーヒーやPETコーヒーを飲まれていた方が、ご家庭でスティックの良さに気づかれリピートされる動きも多く見受けられるようになったことから、甘いものを好まれる男性に向けてもチャンスがある」と期待をよせる。

 コミュニケーションは、新たに開設した公式サイトで、クリーミーなアイスオレを味わいながらくつろぐ時間を“Creamy Hour(クリーミーアワー)”と表現して商品を訴求。

 「自分を取り戻す時間をつくっていただきたく、商品特徴や飲み方をわかりやすく伝えていくほか、今後はキャンペーンなど施策も告知するなどしてシリーズ全体の勢いを加速させていく」と意欲をのぞかせる。