アイス 春から再値上げへ 下期滑り出しは好調

来年3月に江崎グリコ、ロッテ、森永製菓、4月にハーゲンダッツ ジャパンがアイスの価格改定を実施する。4年ぶりの値上げとなるハーゲンダッツ ジャパンを除くメーカー各社は、今年6月以降価格改定に踏み切り、秋にようやく足並みを揃えたが、前述の3社は2度目の値上げに先陣を切った形だ。今後も再値上げに踏み切るメーカーが続くと予想される。

アイスクリームには牛乳乳製品、砂糖、卵黄、チョコレート、植物油脂などが使用され、海外乳原材料や砂糖、油などの高騰、包装資材にかかるコストや物流費の高止まりが続いている。「1回目はパーム油など輸入原料が1番の理由だったが、来年3月に行うのは紙など包装資材の高騰が大きな要因」(ロッテ担当者)。現在も資材使用は最小限に抑えているが、紙のマルチパックなど冷ケースに入れた際に水分で弱ってしまうため、本来の必要以上に使用率を減らすのは難しいという。

井村屋は現時点で値上げの話はでていないが、「コストは想定よりもどんどん上がってきており、値上げ後もすべてカバーは当然できていない。先々の状況次第で踏み切る可能性もあるが、どこまで転嫁できるかは非常に悩みどころ」(担当者)。森永製菓担当者も「輸入乳原材料などが厳しい。1回目の価格改定を決めた昨年同時期からさらに上がっている。6月の改定ではまったく足りていない」と話す。

一方で、現状の価格改定の消費影響については「1回目の価格改定は今のところうまくいっている」(ロッテ)、「10月、11月と市況は悪くなかった。天候もあり純粋な影響は読みにくいが、値上げ幅を含め認知してもらえたと感じる」(森永乳業担当者)などの声が聞かれ、当初は鈍っていた回転も各社値上げするなかで消費者に受け入れられたのか目立った買い控えはないといった印象。

同じ嗜好品でも、もともとスイーツに比べて単価が安いアイスは180円ほどの商品で高価格帯に位置づけられる。最近では自分でチョコを割るアイスやパッケージについたQRコードから本格ゲームが楽しめるアイス、苦みや香りが楽しめるアイスやアルコール入り、夜専用アイスなど、子どもから大人まで楽しめるコミュニケーションやラインアップが充実。その嗜好性や遊び心に癒しを求める消費者は多く、生活防衛意識が高まる中でも「ちょっとした贅沢」や「ご褒美」を低価格で日常的に楽しめるアイス市場の成長は底堅い。「節電意識の高まりで暖房を使わなくなると消費が落ちるのでは」といった懸念の声もあるが、11月は暖かさで市況は8%増を記録した。上期3%増で通過したアイス市場。下期の「冬アイス」をどこまで伸ばせるかに注目だ。

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