事業構造の進化へデジタル戦略を加速 三菱食品 森山社長

三菱食品の森山透社長は第2四半期決算会見で、「経営方針2020」の実行状況や卸事業の取り組み課題について、おおむね次のように語った。

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食の安定供給を使命とする会社として、「経営方針2020」で掲げた「より良いを積み重ねて、日本の食を支える」をテーマにさまざまな取り組みを進めている。今回の台風被害ではあらためて、食の安定供給の重要性を認識した。

今期は当初から意志ある踊り場、仕込みの年と申し上げてきた。上期決算は期初の想定よりも若干ビハインドだが成長分野への取り組みや川上領域の展開など先行投資もあり、我慢の時期。卸事業の磨き込み、新たな事業領域の拡大、これらを支える全社施策の推進により事業構造を進化させ、2020年以降の再成長につなげていく。

既存の卸事業は物流費の抑制が目下の課題だ。自社の物流費は売上げ対比では改善したが、一方で外部に寄託する物流コストの増加が続いている。今期新設したSCM統括が中心となり営業部門と一体となって小売業と協働で納品回数や時間指定、受発注単位の見直しなど物流与件の緩和に引き続き取り組んでいる。

(物流環境が厳しさを増す中で)食品流通には多くのムリ・ムダ・ムラがあり、ここに手を打ってこそ現状をブレークスルーできる。業界慣習を一つ一つ見直し、サプライチェーン全体で効果獲得を目指していく必要がある。日々進化するテクノロジーを活用したデジタル化の取り組みも重要となる。

労働集約型だった物流は今や装置産業化し、より周到なシステムと設備投資が不可欠。EC向け物流に対応した自動化設備や、RFIDの活用や物流シェアリングの研究も進める。卸売事業はコア事業であり、その根幹を支える物流コストの削減、機能の高度化とともに、営業領域では不採算取引の見直しや売買差益の改善も着実に進める。

全社施策では4社統合した15年から組織基盤の強化を進め、その集大成として4月に組織人事を集約し、全体で徹底した生産性改革に取り組んでいる。RPAやOCRのデジタル技術を活用した年間3万時間の業務削減は着実に成果を上げているが、さらにスピード感を持って全社でトランスフォーメーションの取り組みを進めるべく、10月からデジタル戦略担当を新設した。

受発注、照合と膨大なデータ処理を行う卸事業は、デジタル化によって効率化できる余地は大きい。小売、メーカーごとに仕様が異なる課題はあるが、一部小売との取り組みの中でAIを活用したサプライチェーン効率化に向けた実証実験を進めている。物流の効率化や食品ロス削減などの課題解決に寄与できる取り組みであり、早期の実用化を目指す。

今後あるべき姿を目指し、事業を進化させるには会社のあり方を変えていく必要がある。7月のダイヤモンドフェアは大きなチャレンジで内容を一新した。脱カテゴリー・業態別で小売業の課題解決に直結する成功事例を紹介し、ネットや無人化、キャッシュレスなどのニューリテールに対応したリテールサポートの高度化などの機能を前面に打ち出した。小売のありようが変わる中で、半歩先を見据え、私どものリテールサポート機能や提案内容をさらに進化させていく。

その意味では、来年5月の本社移転は、新しい三菱食品にシフトする契機にしたい。これまでの仕事を見直し、ICTインフラを完備した自由なオフィス環境のもと、生産性とコミュニケーションをさらに高め、将来の持続的成長に向けた変革を進める。