経験則が通用しない台風

台風19号がもたらした広範囲に及ぶ被害の大きさに驚いている。過去最大級の勢力で上陸、命を守る行動をと聞き、これは大変なことになると覚悟したのが12日朝。夜には伊豆半島に上陸・縦断し、東京を通過した。

▼都内では確かに経験したことのない激しさだったが、伊豆や湘南に住む友人に連絡を取ると、風雨の強さには驚いても被害の話は出なかった。緊張から解放され寝床についたが、翌朝から19号の本当の猛威が明らかになっていく。

▼最大の被災地は福島だった。死者は30人近くにのぼり、栃木や茨城のほか長野や宮城、新潟などでも大きな被害が出た。大型の台風だと報道されていたが、ここまでとは考えもしなかった。1千人以上の死者を出した昭和33年の狩野川台風の再来、関東中心に記録的大雨というのが事前の予報。

▼上陸地に近い伊豆や東京は軽微で、北上とともに被害は拡大した。関東南部、東北の予報は明らかに外れている。気象庁を責めるつもりは毛頭ない。いまだ経験したことのない台風は、これまでの予報の経験則も通用しないということなのか。