米菓「お得感」から「実質勝負」へ 三幸製菓火災で打撃、市場縮小に危機感強める業界

4~2月累計の米菓市場は、コロナ特需の反動減や原料エネルギーなどの高騰から3.3%減と昨年を下回った。大手2社の亀田製菓と三幸製菓が価格競争を繰り広げ、次に続く岩塚製菓、栗山米菓は価格競争に巻き込まれまいと独自の色を出す。中小メーカーも企業規模に合った小回りを利かせながら大手との差別化を図っている。

新潟勢を中心に環境配慮型パッケージ推進が進み、見た目の大きさやお得感が重視されていた時代は終息を迎え、実質勝負の時代が到来した。また、原料高騰はいくら安定した米が主原料の米菓といえどもかなりの影響を受けているが、棒上げに対する恐怖心から値上げには踏み切れず、生産効率の向上など企業努力で吸収する一方で、利益改善の糸口として高付加価値商品の開発が進んでいる。

変革の時期を迎えた米菓業界だったが、三幸製菓の火災事故の影響で全工場停止の発表から状況が一変した。卸や小売からは在庫確保のため異常値の発注が届き、小売も春夏の棚割の再検討を余儀なくされた。この状況を受け全国米菓工業組合からは、防災対策の見直しに加え、生産体制の強化を促す案内が流れた。

メーカーは、製造工程上少なからず火災が起こりうる可能性はあり、各社あすは我が身と増産要請に応えながら再度の安全点検に動いた。今回火災時間が深夜だったことは盲点で、防災訓練の実施やマニュアルには深夜を想定した訓練はなかったため、改めて深夜に点検を実施したところや、深夜勤務の従業員にも防災マニュアルの周知徹底を急いだ。

現在も三幸製菓の50億円/月のカバーに増産体制を組みながら穴埋めの状況は続いているが、発注の勢いが少しずつなくなっているようだ。新潟大手はこの鈍化している状況に危機感を覚え始めている。定番棚を埋めることに注力してきたが、米菓売上の50%は特売であり販促を打つことで消費者を引き付けてきた。米菓市場のシュリンクを避けるためにも、特売に代わって商品の回転を上げる施策が求められている。

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