昆布茶 安定市場を支えるSNS 若い層に料理利用を訴求

安定的に推移する昆布茶市場。だが、その中身は大きく変化している。本来の飲用による需要は減少し、それを料理利用によってカバーすることで横ばいを続けているのが現状だ。

「50代以上はほとんどの人が飲用。若い人たちには調味料としての認知度の方が高い」。不二食品の藤井隆義社長は説明する。もともと、昆布茶は中高年以上の世代がよく飲むというイメージが強いが、食の多様化が進んだ現在はほかにも多くの選択肢がある。また、気候変動により昆布茶が最も売れる寒い時期が年々短くなっているという指摘もある。

こうした中、昆布茶メーカーは20年以上前から調味料としての提案を続けてきた。当初は隠し味的な使い方が主だったが、今では各社とも昆布茶を本格的な調味料とする様々なレシピを持ち、メニュー提案に力を入れる。

玉露園や不二食品はSNSを活用し、季節に合わせたレシピなどをほぼ毎週のように発信。日東食品工業は地元、広島の料理教室や大学と共同でメニュー開発に取り組む。

もともと日本人に馴染み深い昆布を使っているため幅広い料理に活用でき、粉末や顆粒が主で利便性も高い。こうした点が受け入れられるとともに、SNSの活用も奏功し、本来の購買層よりも若い世代が昆布茶を手にする場面が増えた。不二食品はツイッターとインスタグラム合わせ5万人を超えるフォロワーを持つ。さらに、TikTokではアンバサダーによる調理動画を配信し、より広い世代へアピールしている。

日東食品工業の冨海智社長は「料理教室に来る20、30代のファミリーが家庭に昆布茶を常備しており、意外に若い人たちに使ってもらっているのを認識した」と話す。

今後、調味料としての利用をきっかけに昆布茶を常備し始めた世代が、飲用にも習慣的に使うようになれば、横ばいから拡大へと向かう可能性もある。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)