ブランド食肉 定量的訴求で差別化へ 日本ハム

日本ハムはブランド食肉の強化を進めている。同社の中央研究所で主要ブランド食肉の成分を再検査し、特徴を数値化することで差別化を図る。

同社によると、国内の豚肉だけでも約400種類以上のブランド食肉があるが、現状は「肉質が良い」「クセのないあっさりした肉」など、定性的な表現で紹介されるものが多い。同社では味の濃さを遊離アミノ酸総量、うま味をグルタミン酸、脂の口どけを不飽和脂肪酸などの数値で定量的に分かりやすく示し、消費者の志向に対応する考えだ。

例えば、国産鶏肉「桜姫」の場合、遊離アミノ酸の総量が一般的な鶏肉に比べ約1.8倍多いことが分かった。そこで、従来の「桜色」「少ない臭み」「3倍以上のビタミンE」に続く「第4の武器」としてそのことを訴求する。

なお、今年20周年を迎える「桜姫」はプロモーションに力を入れている。ブランドキャラクターの変更、からあげや焼き鳥製品の投入(3月発売)、特設サイトでのキャンペーンなどにより、今期は4万t以上の販売を目指す。

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木藤哲大副社長兼食肉事業本部長はこのほど開いたブランド食肉セミナーにおいて、食肉事業本部の取り組みについて次の通り述べた。

コロナ禍のこの2年を振り返ると、人の動き、生活、われわれの経営環境が大きく変わった。食を取り巻く環境も変わり、食肉のブランド価値が評価される時代が来ると考えている。

食肉事業は当社グループ全体の約6割を占めており、国内における食肉市場のシェアは大体2割ぐらいである。われわれは強いインテグレーション、つまり自社で生産から販売、物流までを行う一貫したシステムを持っており、これを拡充しながら2030年へ向け、持続可能なバリューチェーンの構築を目指している。そのために「共創ネットワーク」の構築にチャレンジする。これまで自前主義という強みを発揮してきたが、日本全体の人口、そして食肉の消費量もピークを迎えた中、マーケットシェアを上げるにはインテグレーションを強くするだけでなく、グループ内や他社との共創・協働が重要になる。飼料メーカー、機械メーカー、ITベンチャーなどとタイアップし、飼料からの差別化、機械による省人化や合理化、ITベンチャーとはECサイトなどでのマーケット獲得を進めていきたい。

また、持続可能なビジネスモデルとして、アニマルウエルフェアへの対応を強化し、30年にフリーストール化を宣言している。スマート養豚や環境にやさしいパッケージなどの取り組みにも力を入れ、持続可能な畜産を支え、たんぱく質を安定供給する。

2030年に向けマーケットシェアを25%まで高めるために、消費者の皆さまから支持されるブランド育成を進めたい。

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