「あっ!ない」夏のむぎ茶づくりの困りごとを解決する“逸品”  子育てママ社員が考えた「秒で」できる商品に脚光

 消費が早く、夏のお茶づくりが大変――。

 そんな商品開発担当者の子育て中の経験がきっかけとなり考案し、昨年発売開始した「日東紅茶」の濃縮飲料「秒でむぎ茶」(7個入り)が夏のお茶づくりの“逸品”として脚光を浴びている。

 「“あっ!ない”と、当然あるはずと思い込んでいたむぎ茶が冷蔵庫を開けてみるとかなり減っていることが多くて‥」と自身の体験を振り返るのは、「秒でむぎ茶」の商品開発を担当し、中学生の子どもをもつママでもある三井農林の齋藤章代さん。

 「コロナ禍で、娘にむぎ茶を持たせて学校へ通わせるようになり、朝、その用意をしようとすると冷蔵庫にある麦茶が空っぽだったりする。朝急いで作っても、登校するまでに冷ますのは難しいし、氷を入れて冷やしても薄まってしまって。夏場はどうしても家での麦茶の消費量が多いので、気付いたら無くて困る!という経験は私だけではないと思い、夏場のお茶づくりの困りごとを少しでも解決できる商品を開発できないかと考えるようになった」と続ける。

「秒でむぎ茶」(7個入り) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「秒でむぎ茶」(7個入り)

 開発にあたり、まず行き着いたのが長年培われた独自の濃縮技術。

 同社の須玉工場は長年にわたりさまざまな茶葉や飲料を扱ってきた中で抽出技術を積み重ね、低温で丁寧に茶葉を抽出し素材本来の香味を上手く残した「Cold Brew Tea」など、多くの製品を生み出している。

 同社は業務用でもむぎ茶のポーション製品を販売しているが、「秒でむぎ茶」は家庭用に向けて、毎日ゴクゴクすっきり飲める、家で煮出したような味わいを追求。

 開発に携わった松田政徳さんは「業務用は分かりやすく、はっきりした味わいに仕立てているが、『秒でむぎ茶』は家族のみんなに好まれるナチュラルな香味づくりに励んだ。ミネラル(ナトリウム・リン)も加えて、夏場のミネラル補給ができる商品としても飲んでいただけるように工夫した」と説明する。

 ポーション1個あたりの希望小売価格は約50円。1個で1~2Lのむぎ茶が瞬時につくれることから、パッケージでは“あっという間に家族分”の文言が躍る。

 こうして編み出された「秒でむぎ茶」について、開発担当者の齊藤さんは「直観的にあっという間につくれることを伝えるため商品名の『秒で』にもこだわった。商品名の通り“秒”で作れて時短にもなり、水と混ぜるだけで簡単なので、いざという時にすぐに作れる商品に仕立てることができた。子育て中はどうしても買い物の量も多く、作る頻度も多くなるため、コスパ・持ち運びやすさ・保管のしやすさも役立つ。この商品で、少しでも夏場のお茶づくりの負担が減ると嬉しい」と語る。

「秒で緑茶」(6個入り) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「秒で緑茶」(6個入り)

 昨年は5‐7月にかけて期間限定発売したところ、導入店あたりの販売金額では、濃縮タイプのお茶カテゴリーで、高水準の売り上げを記録した。

 今年はさらなる露出拡大を目指しラインアップを拡充。「秒で緑茶」(6個入り)を新たに加えて6月1日の「麦茶の日」を境に2品体制で売場を盛り上げていく。

 「秒で緑茶」は、緑茶飲料が茶飲料の中で最大規模であることに着眼して「秒で」シリーズの接点拡大や売場拡大を目的に開発された。

 「『秒で緑茶』でも、大人から子供まで、ご家族みんなに好んで飲んでいただけるように、国産茶葉エキスを加えた味づくりを行い、ナチュラルかつ旨味リッチに仕立てた」(松田さん)と述べる。

左から企画本部 商品企画・マーケティング部 商品企画室の齋藤章代氏、松田政徳R&D本部応用開発部市場開拓室兼R&D分室兼企画本部商品企画・マーケティング部商品企画室 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
左から企画本部 商品企画・マーケティング部 商品企画室の齋藤章代氏、松田政徳R&D本部応用開発部市場開拓室兼R&D分室兼企画本部商品企画・マーケティング部商品企画室

 一方、齊藤さんは「今回の“秒”でシリーズのように、日常の中にある“あったらいいな”という商品を、今後も開発していきたい。そのために、今後もお客様の声を聞き、寄り添っていく。日東紅茶を、これまで以上にお客様のお役に立てるようなブランドへ進化させていきたい」と意欲をのぞかせる。

 開発担当者の子育ての経験から開発された日東紅茶の“秒でシリーズ”。
 猛暑予測が飛び交う中、夏のお茶づくりの救世主として活躍をしてくれそうだ。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)