日本水産が30年ビジョン 売上高1兆円、営業利益500億円目指す

日本水産は、食品と水産を軸足とした海外事業の成長加速に加えて、ファインケミカル事業と養殖事業を強化し、2030年度(3月期)に売上高を21年度の6千900億円から1兆円に、営業利益を21年度の270億円から500億円に引き上げていく方針を明らかにした。

このほど2030年の長期ビジョン「Good Foods 2030」とこれを実現するための24年度までの中期経営計画「Good Foods Recipe1」を策定した。

長期ビジョンについて、4月21日の記者会見で浜田晋吾社長執行役員は「世界の飲料を除く食品系企業のトップ50には入りたい。(売上高)1兆円と(営業利益)500億円が達成できれば、世界で戦える資本力が身につく」と語る。

長期ビジョン実現のための事業ポートフォリオについては「養殖とファインケミカル、特に機能性脂質についてはもう少しで世界一になれるイメージがある」と述べる。

長期ビジョンではサステナビリティ経営を推進し、ROIC(投下資本利益率)活用により成長分野へ経営資源を集中する事業ポートフォリオマネジメントを強化し企業価値を向上させる。

主要KPI(重要業績評価指標)として、ROIC7.0%以上を含む経済価値のほか、CO2排出量30%削減、50年カーボンニュートラル実現、プラスチック使用量30%削減、持続可能な調達比率100%、主要1次サプライヤーアセスメント比率100%、健康領域商品売上3倍、従業員エンゲージメントスコア20%向上、女性幹部職比率20%といった目標を設定した。

中期経営計画では6つの基本戦略として▽サステナビリティ経営への進化▽グローバル展開加速▽新規事業・事業境界領域の開拓▽生産性の革新▽財務戦略▽ガバナンス強化――を掲げた。

M&A枠250億円を含む総額1千200億円の投資も計画。24年度にはROIC5.5%以上、売上高7千900億円、営業利益320億円を目指す。

海外事業(食品・水産)では北米でシェア拡大と資源アクセスの強化、欧州ではチルド水産フライと代替タンパク製品の展開エリアを拡大する。

国内事業(同)では新規カテゴリーの開拓、ITを活用した流通プラットフォームの構築、健康領域商品の拡大、生産機能の再編成と強化を図る。

ファインケミカル事業では医薬品原料でグローバル販売の安定成長化と品質保証体制の強化、機能性脂質に関するさらなる研究に取り組む。

長期ビジョンでは「2030年のありたい姿」として「人にも地球にもやさしい食を世界にお届けするリーディングカンパニー」を掲げる。

同社は今回、ミッションを「私たちを突き動かすもの。それは『人々により良い食をお届けしたい』という志。海で培ったモノづくりの心と未知を切り開く力で、健やかな生活とサステナブルな未来を実現する新しい“食”を創造していきます」と再定義。

資源アクセス力、研究開発力、生産技術、品質保証力、グローバルリンクス・ローカルリンクスといったバリューチェーンの強みを生かし、心と体を豊かにする新しい食、社会課題を解決する食をグローバルに提供する考えだ。

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