ふりかけ・お茶漬け市場は、川上インフレ川下デフレが続く今シーズンの予測は五里霧中としかいえないが、唯一光明が見えるのは米飯需要の回帰。
米価はコロナ禍に入った2020年以降、巣ごもりによって外食産業での需要が激減したため相場価格が下落している。
ご飯周りの食品はコロナ禍に加え、少子化、消費者の米飯離れとメーカーへのアゲンストが多かったが、食品のインフレが進む中で、家庭内では特に米飯、米食の見直しなどフォローが吹くことになりそうだ。
それだけに、求められるのはメニューおよび商品価値を高める取り組み。
お茶漬けについては、子育て世帯をターゲットにした永谷園の“あさ茶づけ”施策が浸透し、同業他社も恩恵を受けた。「お茶漬け海苔」発売70周年の今年は“お茶漬けの日(5月17日)”でも販促強化が期待される。
一方、ふりかけは最大手・丸美屋食品工業が今春もふりかけキャンペーンを実施するほか、新商品を投入し売場の活性化に寄与しているが、不振が続いている混ぜ込みタイプの影響もあり、競合メーカーが新商品の市場投入を絞り込んでいることが気がかり。
今年に入ってから定番商品の販売が鈍化しているとの指摘も出ており、巣ごもりで内食が増えた消費者はここにきて新しい商品、新しい食べ方提案を求めている向きがある。
ふりかけ・お茶漬け市場の共通の動向としては、3月21日にはまん延防止等重点措置が解除され、外出機会は増加傾向にあるものの、この間での生活様式の変化、食生活の変化によりふりかけ、お茶漬けに対するニーズの形が従前のように戻ってはいないようだ。
最も特徴的なのは行楽需要の減少。
ふりかけは、おにぎり用混ぜ込みタイプの販売規模がこの2年で大きく縮小したことがふりかけ総市場にも響いた。
「苦戦している背景としては、食の米離れに加えて、少子化により子供向けの需要が縮小したことが挙げられる、また、おにぎりの素が20年からとりわけ落ち込んでいることから、コロナ禍の外出自粛により、弁当やおにぎりなど外出時の需要が落ち込んだことも苦戦した要因とみて取れる」(インテージ市場アナリストの木地利光氏)との見方もある。
反面、お茶漬けは、簡単手軽に食べられる商品特性に加え、トップブランド・永谷園の食提案も寄与し、コロナ以前の19年比では市場規模を拡大している。22年1~3月期(インテージ調べ)では、ふりかけが前年同期比2.9%減、お茶漬けは2.3%減で推移している。
この動きについて前出の木地氏は「2月に前年を上回る水準で推移。オミクロン株の感染拡大により、巣ごもり需要が高まるなか、自宅療養の備えとして、簡単に食べることのできるお茶漬けの素の人気が高まったと推察される」と説明する。
また21年の堅調要因については「ごはんにかけるだけで手軽に準備できる簡便さが支持されたことのほか、パスタやうどんなどのアレンジレシピが注目を集めたことも挙げられる」と述べる。
コロナ禍では、在宅勤務など家庭で過ごす時間が増えた勤労者世帯で購入が増加する動きも見られたという。
「家庭で調理する機会が増えたことで、簡便化志向がいっそう高まり、お茶漬けの素が人気となったようだ。キャラクター商品が好調に推移したことも、若年層の需要を高めたとみて取れる」と語る。
*4月18日付ふりかけ・お茶漬け特集改編
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