ゼンショーHDが市販用にフェアトレードコーヒー

国内外食企業トップのゼンショーホールディングスは、「世界から飢餓と貧困を撲滅する」という企業理念のもとで2007年の東ティモールとのコーヒー取引を皮切りに世界18か国でフェアトレード事業に取り組んできた。従来は全国のすき家やココス、はま寿司など国内外約3千店舗でフェアトレードのコーヒーや紅茶を提供してきたが、今年で15周年を迎えるに当たり、より多くの生活者に気軽にフェアトレード商品を楽しんでもらうよう、首都圏の一部食品スーパーで販売するフェアトレード専門コーヒーブランド「シンクアースコーヒー(THINK EARTH COFFEE)」を立上げた。

同品は、持続可能なコーヒーの実現を目指すフェアトレード専門のコーヒーブランドで、「有機ペルー」「有機東ティモール」「シグネチャーブレンド(ニカラグア・東ティモール・コンゴ)」の3種類をそろえ、各品に粉製品とドリップパックがそろっている。

同社では各国の生産者団体から直接あるいはNGOなどを通じてコーヒー豆を公正な価格で購入し、購入費に含まれる社会開発資金は教育環境の整備や農業技術の向上、女性支援などに充てられる。具体的には、ペルーには煙突付きかまどの設置による家庭支援、東ティモールには水道設備の敷設による生活支援、ニカラグアには伝統品種の育苗支援と有機農法の推進による農業支援。

小川東吾ブランドマネジャー(ゼンショーホールディングス) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
小川東吾ブランドマネジャー(ゼンショーホールディングス)

このほど開催した記者会見で、小川東吾ブランドマネジャーは「フェアトレードには認証型と直接提携型(ダイレクトフェアトレード)の二つの方法があり、当社は産地の生産者組合と直接取り組むダイレクトフェアトレードの形をとっている。グループ社員が生産国を訪れ、栽培方法や品質を見極め、公正な価格で原料を調達し、生産地域のために何ができるかを考えながらさまざまな支援を行っている」と指摘。企業が参加しやすい認証型は規定や基準が存在し認証費用もかかるが、直接提携型は仲買人や商社を通さず現地生産者と直接的な関係ができるため、継続的な生産者支援が可能と言う。

「コーヒーは、世界的な飲用者の増加により供給が追い付かない懸念がある。生産国は貧しい国が多く、過酷な労働環境も少なくない。国際相場が変動する中で小規模農家の収入は安定せず栽培が継続しづらくなっている。しかも気候変動の影響(コーヒー2050年問題)によりコーヒー栽培適地の減少が懸念されている」と同氏。「『シンクアースコーヒー』によりコーヒーのサスティナビリティを実現し、未来の世代までコーヒーを楽しんでもらうために小売専用のフェアトレード専門コーヒーブランドを立ち上げた」。