なぜ半世紀前のデザイン柄が若者の心をとらえるのか?  キーコーヒーがアデリアレトロと組み純喫茶を盛り上げる理由

 ミートソーススパゲティにババロアを添えた王道メニューやミルクセーキ、厚切りのトーストの上に小倉あんとバターをふんだんに盛り付けたモーニングセットなど現代風にアレンジした純喫茶の世界を再現――。

 キーコーヒーは、グループ会社で展開しているアマンド六本木店(東京都港区六本木)で、純喫茶の魅力を詰め込んだ特別メニューを3月17日から4月10日までの期間限定で提供している。

 これは、減少傾向にある喫茶店の活性化を目的に、“喫茶文化の継承”を掲げた取り組みの一環となる。

 昨年11月に、純喫茶に造詣が深い難波里奈さんと組み純喫茶に関する情報やSNSの投稿を一元化した純喫茶情報サイト「純喫茶ジャーニー」を公開。
その反響は上々で来店誘導につながる動きもみられることから、今年は20-40代の女性からの支持を集め人気急上昇の食器ブランド「アデリアレトロ」とも新たにコラボして、この動きを加速させる。

アマンド六本木店の「ときめき純喫茶セット」3月17日~27日までミートソーススパゲティ+ババロア+選べるドリンク+サラダ、3月28日から4月10日までピザトースト+ミルクプリン+選べるドリンク+サラダ。
アマンド六本木店の「ときめき純喫茶セット」3月17日~27日までミートソーススパゲティ+ババロア+選べるドリンク+サラダ、3月28日から4月10日までピザトースト+ミルクプリン+選べるドリンク+サラダ。

 アマンド六本木店の特別メニューは、3つの「純喫茶ジャーニー」連動企画のうちの1つ。メニューの見せ方など難波里奈さんとともに「アデリアレトロ」の視点を取り入れて共同開発された計10品を取り揃える。

 この中で一押しは「ときめき純喫茶セット」で「昔懐かしいミートソーススパゲティと固めな食感が魅力のババロア、カラフルなクリームソーダやミルクセーキがセットになった純喫茶の定番メニューを存分に味わえるセット」(キーコーヒー)と胸を張る。

 アデリアレトロの脚付きグラスで春の花をテーマに作られたカラフルなクリームソーダやコーヒーミルクセーキも提供。
春の花は、さくら(ピーチ味)・エルダーフラワー(ラムネ味)・すみれ(レモン味)の中味に応じた3種類の柄を用意。コーヒーミルクセーキは、キーコーヒーのコーヒーを使用したミルクセーキで「どこか懐かしい香ばしい味わい」が特長となっている。

アマンド六本木店とアマンド公式ECサイトで数量限定販売している「ごほうび喫茶ギフト」
アマンド六本木店とアマンド公式ECサイトで数量限定販売している「ごほうび喫茶ギフト」

 残り2つの「純喫茶ジャーニー」連動企画は、より幅広い全国的なアプローチとして、おうちで純喫茶の魅力を楽しめるコーヒーセット「ごほうび喫茶ギフト」の販売と「#純喫茶ジャーニーSNS投稿キャンペーン」を3月10日から実施している。

 「ごほうび喫茶ギフト」は、「アデリアレトロのボンボン入れ」を付けて7種のクッキーと「ドリップ オン」の「珈琲専門店の香り」(ブレンドコーヒー・クラシック)を詰め合わせてアマンド六本木店とアマンド公式ECサイトで数量限定販売している。

 SNS投稿キャンペーンは、訪れた喫茶店の写真やおすすめのメニューの写真などを投稿すると抽選で30人に「ごほうび喫茶ギフト」をプレゼントする内容になっている。

「ごほうび喫茶ギフト」に付いている「アデリアレトロ ボンボン入れ680 花の輪」
「ごほうび喫茶ギフト」に付いている「アデリアレトロ ボンボン入れ680 花の輪」

 今回、「純喫茶ジャーニー」連動企画に新たに加わった「アデリアレトロ」は、石塚硝子が50年以上前の1961年に発売した「ADERIA(アデリア)」の復刻ブランドとなる。

 「当時20代の女性社員3人の起案によるもので、“アデリア”をインスタグラムで検索すると半世紀前に販売していた花柄などのプリントグラスが数多く投稿されていることに気づいたことが新ブランド立ち上げの契機になった」と石塚硝子の後藤鉄平ハウスウェアカンパニー市販部販促マーケティンググループリーダー兼企画グループリーダーは振り返る。

 加えて、アンティークショップなどでも往時に販売していたグラスが貴重品として売買されていることも判明。

 これを受け、レトロ柄のコップや果実酒びんなどのグラスウェアを現代風にリメイクしてテスト販売を経て19年10月に発売を開始した。

 以降、20~40代の女性ユーザーに支持され大ヒット。「22年3月10日現在で累計75万個以上を売上げた。この数字は、同価格帯の商品として近年では異例の実績で、昨年度との比較では約215%の伸びとなった」という。

 これにはメディアへの露出や企業間コラボ、ファンとのつながりを強くしていくマーケティング活動が奏功し、さらなる拡大に向けて石塚硝子からも「純喫茶ジャーニー」に寄せる期待は大きい。

 「今まで『アデリアレトロ』をご存知なかった方たちに知っていただき、馴染みのある純喫茶メニューに『アデリアレトロ』のグラスを使用していただくことでさらにユーザーが増えることを期待する」と述べる。

 純喫茶やコーヒーとの親和性については「純喫茶の持つ雰囲気を壊さないレトロな柄のグラスは親和性が高いと信じており、特にアイスコーヒーなどの冷たい飲み物との相性は普遍的なものであり親和性は高い」との見方を示す。

アマンド六本木店でオープンから11時まで提供される「旅先気分モーニングセット」
アマンド六本木店でオープンから11時まで提供される「旅先気分モーニングセット」

 キーコーヒーも「『アデリアレトロ』が好きな20-40代の女性が、本企画を通して来店し、純喫茶のメニューや世界観の魅力を知り、地域の店舗にも足を運んでいただけるようなきっかけになってほしい」と期待を寄せる。

 半世紀前のデザイン柄が若者の心をとらえるといった昭和レトロブームには、デジタル化が進み日常で触れ合う機会が少なくなったことが背景にあると推察される。
石塚硝子が19年10月に実施した調査では、虚無感を抱えて過ごす若者が多いこととアナログ的な要素のある商品やサービスが求められる傾向が浮き彫りになった。

 キーコーヒーが注力している喫茶文化と喫茶店の応援施策は、奇しくも、若者が抱きがちな虚無感を和らげる効果も見込めそうだ。
「純喫茶ジャーニー」では今回、「自宅でもアマンドでも、またSNSでも楽しめる内容」を意図して前述の3つの企画を用意。若年層に注目される純喫茶ブームを令和にも喫茶文化として根付かせていこうとする意気込みが感じられる。

「純喫茶ジャーニー」では今回、3つの企画を用意している。
「純喫茶ジャーニー」では今回、3つの企画を用意している。