小川珈琲が町屋を改装して「100年先も続く店」開業 エシカルなコーヒーのみを日本の喫茶文化を象徴するネルドリップで提供 

 小川珈琲は11日、“京都の台所”として知られる錦市場(京都市中区堺町)からほど近い場所にある町屋を改装し“100年先も続く店”をコンセプトに掲げた新店舗「小川珈琲 堺町錦店」をオープンした。

 1952年創業の同社は今年、創業70周年を迎え原点回帰を図る。新店舗をその縮図と位置づけ、コーヒーは有機JAS認証や国際フェアトレード認証をはじめとするエシカルなコーヒーのみを用意。

 エシカルコーヒーは「GRANCA(グランカ)」の名を冠した8種類をラインアップし、日本の喫茶文化を象徴するネルドリップで提供される。

 これにより環境への配慮と本物の味わいの両立を目指す。

「GRANKA(グランカ)」の名を冠する8種類のエシカルコーヒー(写真上)のみをラインアップし日本の喫茶文化を象徴するネルドリップ(写真下)で提供する。 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「GRANKA(グランカ)」の名を冠する8種類のエシカルコーヒー(写真上)のみをラインアップし日本の喫茶文化を象徴するネルドリップ(写真下)で提供する。

 「ネルドリップは繰り返し器具が使えるのも特徴。当社では堺町錦店のオープンに際し、GOTS認証を取得したオーガニックコットンをフィルター部に使い、岡山の真鍮作家・Lueがハンドルを手がけたオリジナルのネルドリッパーを開発した」(小川珈琲)。

 フードロスや容器包装などの削減を目指して従来のサービスも見直す。

 その一環として、コーヒーの量り売りやテイクアウト容器の持参を推奨していくほか、全てのメニューをデジタル化した。

 “古き良き日本の喫茶店文化の再構築”をもう1つのテーマに掲げ、食材の地産地消といったサステナビリティにも配慮しつつ喫茶メニューのブラッシュアップも図った。

京都産小麦食パンを採用しオーブンはスペイン・ジョスパー社のチャコールオーブンを導入。 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
京都産小麦食パンを採用しオーブンはスペイン・ジョスパー社のチャコールオーブンを導入。


 食パンは、京都を代表する本格派フレンチスタイルのブーランジェリー「ル・プチメック」の創業者・西山逸成氏が開発した独自レシピの京都産小麦食パンを採用。

 食パンの魅力を引き出すフードメニューの監修は「シェルシュ」代表の丸山智博氏が務め、牧草のみで飼育された牛から摂れるグラスフェッドバターに、京都「佐々木酒造」の米麹をミックスして作った麹バターなどハンドメイドのおいしさを追求している。

 オーブンはスペイン・ジョスパー社のチャコールオーブンを導入し「素材本来のおいしさが際立つ喫茶メニューを完成させた」。

 京都の伝統的な食材を使用したオリジナルのアレンジドリンクも取り揃える。

「小川珈琲 堺町錦店」内観 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「小川珈琲 堺町錦店」内観

 町屋を改装した内装は“うなぎの寝床”とも呼ばれる京町家の伝統的な細長く深い造りはそのままに、エントランス部分を吹き抜けにし、造作したトップライトからの光も取り入れることで開放感を演出している。

 そのほか、既存の木軸を活かして仕上げたモルタルの壁や、あく抜きといった手法で磨きをかけた木柱などが特徴で、日本古来の美意識と現代的な感覚が折衷した空間に仕立てられている。