災害時の生活インフラ、ミネラルウォーター 不測の事態へ瞬発力高める「サントリー天然水」の新供給体制とは?

ペットボトル入りのミネラルウォーターは生活必需品化し、自然災害時には「命の水」として需要が急増する傾向にある。日本ミネラルウォーター協会によると、市場規模は20年までの30年間で約34倍に拡大。その拡大の背景には、健康志向の高まりで飲用水として定着したことに加えて、多発する自然災害の影響を受けて飲用だけでなく生活用水として備蓄ニーズが伸長し、生活インフラになっていることが挙げられる。この傾向は今後も継続するとの見通しから、サントリー食品インターナショナルはミネラルウォータートップブランドの「サントリー天然水」で、リブランディングに伴い新工場を稼働させるなどして供給体制を大幅に増強した。

9日に発表した同社の平岡雅文ジャパン事業本部ブランド開発事業部課長は「水源をコアにした価値強化や澄み切ったおいしさに加えて、生活インフラとなる中で、いかに人の営みに寄り添うかという視点がブランドとして非常に重要になる」と語る。

平岡雅文課長㊧(サントリー食品インターナショナル)と澤田元充工場長(サントリープロダクツ)
平岡雅文課長㊧(サントリー食品インターナショナル)と澤田元充工場長(サントリープロダクツ)

今回の供給体制の強化は、この人の営みに寄り添う視点が根底にある。「いつでも、どこでも安心してご利用いただけることが、お客さまに安心していただけるブランドになる」との見方を示す。

特に自然災害時は安定供給が求められることから、その対応力を強化した。「自然災害が発生したエリアの販売が著しく急増する。その際、いかにエリアをまたいで供給できるかが大事。また、SNSでの店頭品切れツイートなど情報の拡散時期や程度により需要が高まる時期が変わり消費が読みづらくなり、いかに瞬発力を高めていけるかだと思っている」と語る。

不測の事態の需要急増に対して「作る」と「運ぶ」の部分で緊急対応が必要とし、「作る」では「サントリー天然水」第4水源地・北アルプスを拠点とする新工場「天然水 北アルプス信濃の森工場」が5月31日に稼働した。充填速度は2LPETで360bpm(1分間に360本)、550㎖PETで1千bpm(1分間に1千本)となり、年間1千500万ケースの生産能力を見込む。

「天然水 北アルプス信濃の森工場」(サントリー食品インターナショナル)
「天然水 北アルプス信濃の森工場」(サントリー食品インターナショナル)

同工場の澤田元充工場長(サントリープロダクツ執行役員)は、安定供給面で既存工場以上のレベルを持つ設備の一例に新トレーサビリティ手法を挙げる。これはトレース時間を従来の10分1程度に抑えるとともに、商品1本ごとに製造・検査履歴情報と品質情報を組み合わせてリアルタイムに統合管理し、生産ストップなどのリスクを軽減するものとなる。

同工場には最新鋭の保管・搬出設備も備えている。倉庫には、震災・停電・故障リスクに対応したマジックラックを導入。搬出時にはトラックローダーを採用し「従来はトラックが入ってきて1時間以上かけて積み込んでいたのが、15分から20分くらいに短縮できた」という。

マジックラック(天然水 北アルプス信濃の森工場)
マジックラック(天然水 北アルプス信濃の森工場)

「運ぶ」では昨年11月に、これまで別商品扱いだった南アルプス・阿蘇・奥大山の各水源の商品を南アルプスに合わせてJANコードを統一し、「サントリー天然水」の商品名に統一して発売している。これにより「エリアを考慮する必要がなく、緊急時にしっかりお届けできる体制が整った。これまでできなかったことができるようになったという点で大きく前進した」と述べる。

強固な物流網の構築に向けては、各部門が集まり在庫拠点などを短期・中長期の視点で予測を立てている。

トラックローダー(天然水 北アルプス信濃の森工場)
トラックローダー(天然水 北アルプス信濃の森工場)

なお、静岡県熱海市伊豆山で3日に発生した土砂崩れでは、大きなトラブルや過剰な出荷は発生していないとした。