拡大するAGFのEC専用商品 ニーズ即応の専門部隊が強み

味の素AGF社のECチャネルでの販売が好調に推移している。

AGFは19年7月にECビジネス部を新設。一つの会社のような組織体制で環境変化や顧客ニーズに迅速対応して二ケタ増を維持し拡大を続けている。

一つの会社のような組織体制とは、営業・マーケティング・生産のバリューチェーンすべてをアライアンス先含めて考えられる社員を揃えていることを意味する。

10月28日本社で発表した品田英明社長はECビジネス部について「開発の専門部隊でさまざまなデータを分析しながら企画から営業までの一体的なデジタルマーケティングを展開している。スピーディーに仕事ができ、激しい変化に対応してさまざまな手を打っている」と説明する。

ECでは、スーパーなどで売られるリテール商品とEC専用商品の両方を販売。

20年度3月期の売上げは18年度3月期比で80%増となった。この成長の牽引役となったEC専用商品は同期間、2倍以上の伸びをみせた。

初のメール便対応商品「〈煎〉レギュラー・コーヒー プレミアムドリップ アソート12袋」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
初のメール便対応商品「〈煎〉レギュラー・コーヒー プレミアムドリップ アソート12袋」

AGFの調べによると、ECコーヒー市場は250~300億円程度と推定。17年からの3か年平均の市場伸長率は8%で、20年からは急拡大しているとみている。

「当社ではご年配の方を含め利用者が拡大しており、コロナ禍でプレミアムタイプのレギュラーコーヒーが大幅に伸長した。当然のことながらECへの経営資源の投入は今後も重点的に行っていく」と意欲をのぞかせる。

EC専用商品は、プチギフト需要に対応したプレミアムタイプやラベルレス・紙包材を採用した環境配慮型商品などをラインアップしている。

プレミアムタイプは「〈煎〉レギュラー・コーヒー プレミアムドリップ」とドリップコーヒーのバラエティパック「プレミアムドリップ ドリップオンザワールド アソート」が売上げを牽引。この中で「〈煎〉レギュラー・コーヒー プレミアムドリップ」は物流改善商品として3月から初のメール便対応商品を発売している。

「AGF マイボトルスティック ワン」シリーズの「ブラックコーヒー」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「AGF マイボトルスティック ワン」シリーズの「ブラックコーヒー」

環境配慮型商品としては、「〈ブレンディ〉ボトルコーヒー ラベルレス」シリーズやスティックのフィルムの一部に紙を使用した「〈ブレンディ〉スティック カフェオレ エコスタイル」などが挙げられる。

「〈ブレンディ〉ボトルコーヒー ラベルレス」シリーズは、19年に「無糖900㎖」を販売したところ好評を博し販売も上向いたことから、今年2月に「低糖900㎖」と「微糖900㎖」を新発売した。

「〈ブレンディ〉スティック カフェオレ エコスタイル」は19年のテスト販売を経て販路を拡大し伸長を続けている。

環境配慮型で今年新発売されたのは「AGF マイボトルスティック ワン」シリーズで、プラスチックごみ削減への取り組みが注目される中、環境や経済的といった観点でマイボトル使用者が増加していることを受けて開発された。

今後も「エシカル消費の商品をECに随時投下していく」との考えの下、植物由来資源100%ドリッパーとレインフォレスト認証コーヒー豆100%を使用した「プレミアムドリップ ドリップオンザワールド グリーン」を10月24日にで先行発売した。

共働き世帯の増加に伴い、増えつつある子どもの欠食率や孤食、親子間のコミュニケーション不足という社会課題にも対応する。

植物由来資源100%ドリッパーとレインフォレスト認証コーヒー豆100%使用「プレミアムドリップ ドリップオンザワールド グリーン」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
植物由来資源100%ドリッパーとレインフォレスト認証コーヒー豆100%使用「プレミアムドリップ ドリップオンザワールド グリーン」

11月2日からEC限定で発売された子ども向けスティック「ブレンディとけた!」シリーズについては「5~10歳をターゲットにした初めてのスティックで、生活者の方々との共創型開発商品の第1号となる。不安とストレスの多いコロナ禍で親子のふれあいの一助になれればという願いを込めた」と語る。

ECビジネス部では今後も国内のBtoCとBtoBに注力。なお海外向けの越境EC事業は別部署が担当。「越境ECは海外の部隊に分けて、これまで2、3年仕掛けてきたことが実を結んで倍以上伸びており今後も注力していく」考えだ。

EU農産品  - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)