豆乳を上回る健康価値 乳酸菌で発酵させた豆乳ヨーグルトが体に良い理由

鉄・マグネシウムなどのミネラルの摂取を阻害するフィチン酸。

フィチン酸には、細胞を活性酸素から守る抗酸化作用があり、発がんを抑制する働きがあると期待されているが、豆乳を発酵させて酸性度を高めることによって、このフィチン酸を下げミネラルの吸収を促進すると指摘するのは、東京農業大学応用生物科学部・食品安全健康学科の上原万里子教授。

9日、ポッカサッポロフード&ビバレッジ主催の豆乳ヨーグルトセミナーで講演した。

豆乳に含まれるイソフラボンは血圧の上昇を抑え、血中コレステロールを抑える働きがあるが「豆乳を発酵させると、さらに効果があるものとして報告され、イソフラボンの増加も判明した」と語る。

豆乳の中のイソフラボンには、糖(糖鎖)が付き、腸から吸収されるときに糖鎖が切り離される。豆乳を発酵させると、糖鎖を切る酵素が活性化されアグリコン型のイソフラボンが増えて吸収量がアップし生体内のイソフラボンが増加するという。

大豆イソフラボンが腸内細菌で変換されることで生まれるエクオールに注目が集まっていることも指摘する。

エクオールには、エストロゲンによく似た働きがあり、更年期症状を和らげるほか、メタボ・骨粗鬆症の予防につながり、シワの深さが浅くなるなど肌にも作用する。

日本女性医学学会雑誌によると、大豆由来成分であるエクオールを作る腸内細菌を持つのは日本人女性全体では約半分で、若年女性だけを見ると2割程度しかエクオールを作れないという報告もあるという。

男性のエクオール産生者もイソフラボンの摂取によって「前立腺がんの予防につながる」と述べる。

エクオールを産生できない非産生者については「イソフラボン自体が骨粗鬆症予防に有効という報告もある。何かの食品と一緒に摂取した場合に産生が上がることを期待したい」との見方を示す。

上原万里子教授㊧(東京農業大学)と脇田義久氏(ポッカサッポロフード&ビバレッジ基盤技術研究所)
上原万里子教授㊧(東京農業大学)と脇田義久氏(ポッカサッポロフード&ビバレッジ基盤技術研究所)

続いて登壇したポッカサッポロフード&ビバレッジ基盤技術研究所基礎研究グループの脇田義久氏は、サッポロホールディングスとともに行った「ビフィズス菌を含有する豆乳ヨーグルトが腸内環境とエクオール変換に及ぼす影響に関する研究」を紹介。

同研究では、豆乳ヨーグルトを、健常な男女被験者23人に2週間にわたり毎日100gずつ摂取させる実験を行い、試験食品摂取前と摂取2週間後に、便と尿を回収して解析と尿中エクオール量測定を実施した。

その結果、「腸管でビフィズス菌が増殖していることが確認された。また、エクオール産生者は23人中12人で、産生者において摂取後に尿中エクオール濃度が増加する傾向が認められた」。

豆乳ヨーグルトとは、豆乳を乳酸菌で発酵させてつくられる植物性ヨーグルトのことで、一般的に大豆たんぱく質や大豆イソフラボンが摂取できるほか、コレステロールゼロでヨーグルトに比べて低カロリーで低糖質の設計が特徴となっている。乳製品を使用していないことから乳アレルギーの人にも適している。

主に健康志向の強い女性層に支持され、最近ではSDGs機運の高まりも追い風になっている。

タンパク源の一つである牛肉を1kg作るには、大豆など穀物を10kg使用すると言われており、同じ量の牛肉に対し大豆を生産する時に必要な水の割合は50分の1に、エネルギーは20分の1に節約できるというデータもある。