「培養ステーキ肉」実現へ前進 日清食品HD、本格研究課題に

日清食品ホールディングスは、東京大学大学院情報理工学系研究科(東京大学生産技術研究所兼務)の竹内昌治教授と共同で、「培養ステーキ肉」の実用化に向けた研究「3次元組織工学による次世代食肉生産技術の創出」を進めているが、同研究が国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「未来社会創造事業」(探索加速型)探索研究課題の本格研究課題に移行することが決まった。

未来社会創造事業は、社会・産業ニーズを踏まえ、経済・社会的にインパクトのあるターゲットを目指す技術的にチャレンジングな目標を設定し、POC(概念実証=実用化が可能かどうか見極められる段階)を目指した研究開発を行う制度。同事業の探索加速型は、探索研究から本格研究へと段階的に研究開発を進める点が特徴となっている。

探索研究では、スモールスタート方式(比較的少額の研究開発課題を多数採択する仕組み)で、多くの斬新なアイデアを取り入れ、探索研究から本格研究へ移行する際に研究開発課題を絞り込み、最適な研究開発課題の編成や集中投資を行う仕組み。「3次元組織工学による次世代食肉生産技術の創出」は、同年度に探索研究課題に採択されていた5領域59件の課題の中から初めて、本格研究課題への移行が決定した。

研究を進める「培養肉」は、動物の個体からではなく、細胞を体外で組織培養することによって得られるため、家畜を肥育するのと比べて地球環境への負荷が低く、畜産のように広い土地が不要で、厳密な衛生管理が可能などさまざまな利点があることから、食肉産業における新たな選択肢を示すものとして期待されている。

現在、世界中で行われている「培養肉」研究のほとんどは“ミンチ肉”を作製する研究だが、同社と竹内教授の研究グループは、肉本来の食感を持つ“ステーキ肉”を「培養肉」で実現する目標に向け、筋組織の立体構造を人工的に作製する研究に取り組む画期的なもの。

今回、「3次元組織工学による次世代食肉生産技術の創出」が本格研究課題へと移行することで、探索研究で実現した「培養肉」(1cm角)のさらなるスケールアップや、おいしさと低コストを両立する食肉生産技術の確立を目指した研究を推進することが可能になる。

日清食品ホールディングスでは「持続可能な社会の実現に向けて、今後も『培養肉』の研究を推進するとともに、『培養肉』の理解促進と社会需要形成に向け、適切な情報発信を行っていく」としている。