神戸うなぎブランド化へ 六甲の伏流水で注目のビカーラ種を養殖

ビカーラ種のうなぎを国内で養殖し、絶滅危惧種であるジャポニカ種を守ろうという取り組みが、兵庫県神戸市で行われている。国民一人当たり、ウナギを平均1.7匹年間消費する日本は、1兆円規模の鰻市場。しかし、アジア全般での需要拡大による乱獲から、ジャポニカ種は絶滅危惧種に指定されており、シラスウナギの採捕量は年々減少傾向にある。

シラスウナギは記録的な不漁だった昨年から一転、今年は豊漁が伝えられているが、種の枯渇や輸出入規制の厳格化を考えると先行きが厳しい。この中、2018年にはイオンがニホンウナギの代替えとして扱いを増やすと発表、ビカーラ種への関心が集まっていた。

インドネシアでの養鰻指導や稚魚の調達を主力事業としてきたBRIC’s ECO JAPAN(神戸市西区、堀直彦社長)は現在、国内でのビカーラ種の陸上養鰻ビジネスを本格的に展開している。

ビカーラ種はニホンウナギとの比較では味とサイズが最も近く、30%以上価格が安いという利点がある。しかし、その一方で「飼育が難しく、歩留まり30%以下」(養鰻業者)であり、安定供給には難があった。

堀直彦社長(BRIC's ECO JAPAN)
堀直彦社長(BRIC’s ECO JAPAN)

堀社長は、独自で養殖研究を十年来重ねた結果、ビカーラ種の歩留まりを90%以上とする養殖技術「工場型養殖システム」を構築。同システムは半閉鎖かけ流し式陸上養殖法。小ロット単位で管理できるポリプロピレン製の小型水槽を使用し、正常な水をかけ流しながら稚魚から幼魚へ、幼魚から成魚へと育て上げる。

小型水槽を採用しているので管理しやすく、万一病気が発生しても被害が少ない、移動しやすい、屋内で飼育できるので盗難被害の心配がない。また抗生剤、合成化学物質を使用しないことを大切にし、より天然のうなぎに近い形での飼育方法を取り入れ、餌から吟味した安心安全に配慮した養鰻ができる。

ビカーラ種の養殖に関心を持つインドネシア政府は、この「工場型養殖システム」に着目し、同社にインドネシア養鰻協会の技術顧問を委託。堀社長はインドネシアを起点に広くアジア・アセアンでのビカーラ種の調達に取り組んできた。今後は、確立したビカーラ種の飼育方法をもとに国内での指導にも力を注いでいく方針だ。

ビカーラ種の国内での取り組みは、神戸市西区のプラントではグループ企業の「神戸養鰻」が六甲の伏流水を使用して現在3万匹を養殖中。「神戸うなぎ販売」は“神戸美人うなぎ”を商標登録し、神戸発のうなぎブランドの浸透を図るほか、「ひようご安心ブランド」を目指しPRしている。

堀社長は今月、新会社「神戸うなぎ淡水株式会社」を設立。「ビカーラ種稚魚の調達、技術指導、フランチャイズビジネスを業務としてきたBRIC’s ECO JAPANを主軸に、神戸養鰻、神戸うなぎ販売の機能を統合した。一気通貫でビカーラ種を提案し、国内での普及スピードを速めたい」(堀社長)と説明している。

生産規模拡大のため、7月には1千640平米の敷地に移転し、養鰻事業を行う予定。年内には年間20万匹規模となる見込みだ。新施設では産学連携によるテストプラント、アンテナショップの設置も検討している。