おいしさの秘密は“急速冷凍” 冷凍パン「ル・オーブン」科学で検証 敷島製パン

敷島製パン(名古屋市、盛田淳夫社長)はこのほど、焼成後冷凍パンブランド「ル・オーブン」を対象に味覚センサーを用いた科学的な検証を行った。現在の急速冷凍による製法と、緩慢冷凍したパンを比較したところ、急速冷凍したほうが「甘味」「旨味」が強い数値を示した。

冷凍パン・冷凍生地の市場規模は19年度1千806億円(前年度比102.3%)、23年度には1千959億円まで拡大すると予測されている。「ル・オーブン」は18年11月に、オンラインショップ限定でスタート。国産小麦の小麦粉を使用し、石窯で丁寧に焼き上げたパンを、おいしさを損なわないように急速冷凍して家庭に届けている。トースターで温めるだけで本格的な焼き立てパンが楽しめる。

味覚センサーでの検証では、「ル・オーブン」のバゲットを使用し、緩慢冷凍した場合と急速冷凍した場合の「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「旨味」を数値化して分析した。

それによると「甘味」が緩慢冷凍2.13~2.16点に比べ、急速冷凍2.45~2.46点、「旨味」では、緩慢冷凍1.65~1.68点、急速冷凍1.98~2.00点と味覚上おいしく感じることが明らかとなった。

また、「かたさ(老化)」についても比較したところ、急速冷凍したバゲットの方が、クラム(中身)の老化を抑え軟らかいことも分かった。

味覚センサー「レオ」を開発したAISSYの鈴木隆一社長(味博士・慶応義塾大学共同研究院)は「水や唾液に溶けた呈味(ていみ)物質が味蕾にある味細胞を刺激することで味を感じる。パンのクラムが軟らかいことは、クラムが硬いパンに比べて、パンの老化を抑えるだけでなく、パン本来の味もより強く感じることが明らかとなった」とコメントした。

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