カリフォルニア・アーモンド 過去最大の供給量で着地 「ヘルシーなナッツ」定着

ヘルシーなナッツとしてのイメージがすっかり定着したアーモンド。女性を中心に、健康や美容のために習慣的に食べる層が広がりをみせている。さらには、おつまみ需要が中心だった以前に比べて、製品のバラエティーも拡大。世界最大の生産量を誇るカリフォルニア産アーモンドの動向には、ますます注目が集まる。世界のアーモンドのうち80%を生産する米カリフォルニア州でもトップクラスの供給量を誇る独立系パッカーで、日本ではデルタインターナショナルが総代理店を務めるキャンポス・ブラザーズ社(トニー・キャンポス会長)。同社の日本最高責任者で社長のスティーブン・キャンポス氏と、副社長のクレッグ・デュアー氏らに、近年のマーケット事情や今後の生産の見通しなどについて聞いた。

今シーズンは踊り場か 収穫面積は依然拡大中

クレッグ・デュアー氏㊧とスティーブン・キャンポス氏(キャンポス・ブラザーズ)
クレッグ・デュアー氏㊧とスティーブン・キャンポス氏(キャンポス・ブラザーズ)

――昨シーズンのカリフォルニア・アーモンドの需給状況はいかがでしたか。

デュアー 先月発表されたポジション・レポートによれば、18―19年クロップは22億7千万ポンド程度で着地しそうだ。年度末である7月の最終レポートが間もなく発表されるが、そう大きくは変わらないだろう。業界の歴史上でも最大の供給ボリュームであり、販売数量も過去最高となる見込みだ。

――一方でNASS(米国農務省農業統計局)が7月に発表した予想によれば、今年の収穫量は前年比3.5%減となる見通しです。これについてどうみていますか。

デュアー 現時点で3.5%減、22億ポンド前後の収穫が予想されている。業界トータルの作付面積は117万エーカーとなる予定で、天候要因などによる減少分を新規作付の農地がカバーすることになるだろう。業界にとって心強いのは、新たな農地が今後2年間で10万エーカー以上増えることが確実視されている点だ。これによりさらに増産となることが予想されている。ただ今後もこれまでのように増え続けていくかといえば、次第に暗雲がたちこめてきているのも事実。23年以降は、さまざまな事情によって拡大基調にブレーキがかかりそうだ。水の供給の問題や、農地に適した土地が少なくなってきていることが背景にある。これによりアーモンドの供給量も頭打ち、あるいは減少局面に入っていく可能性もある。

キャンポス 今回の予想数値に関しては、今シーズンの天候コンディションが良くなかったことが影響している。木が休むタイミングである冬から春にかけての気温も高く推移したことは、アーモンドの生育にとってあまり良い条件ではなかった。特に春の開花期の降雨量が例年よりも多く、3月まで雨が長引いたことで受粉に影響が出た。花粉を媒介する蜂の活動が鈍り、受粉が妨げられたためだ。

――今期への繰入在庫の水準はいかがですか。

デュアー 好調な出荷を背景に在庫量は圧縮されており、厳しい状況になるだろう。特に新物が出回るまでの需要を賄うつなぎ在庫に関しては、非常に厳しいと予想される。主力品種であるノンパレル以外はほとんどが減産となり、(早生種の)ノンパレル以後に収穫される量が少なくなる見通しだ。今年は水準が低いなかでも何とかやり過ごすことができそうだが、来期へ供給をどうつなぐかが業界にとっての差し迫った課題になるだろう。

――今後5年程度の需給動向をどうみていますか。

デュアー アーモンドはこのところ世界的にも非常に堅調な需要が続いており、過去5年間の販売分はすべて売り切れている。この傾向は今後もしばらく続くだろう。ただ今期は供給が伸び悩むなかで、それに合わせて需要をどうコントロールしていくかも考えねばならない。

――需要拡大の背景は。

デュアー 健康的な食材としてアーモンドミルクなどの新たな使われ方が増えていることに加え、それをさらに加工したヨーグルトなど二次的商品も増えており、そうした部分での需要が拡大しつつある。昨年も日本は5~7%の市場拡大を果たしており、日本のような成熟マーケットでもそうした新たな需要が生まれて市場が拡大しているのは注目すべきことだ。底堅い需要を支えに、新たな商品が投入されるという良いサイクルにつながっている。

――カリフォルニアの水問題の現状は。

キャンポス 短期的には、18年度に降雨に恵まれたことで州全体としての水問題は解消されている。今春も開花に悪影響が出るほどの雨が降っており、当面は心配ないだろう。とはいえ中長期的には、水をどう安定供給していくかという問題は全く解決されていないのが実情だ。

――世界の需給動向を教えてください。

キャンポス 供給面をみると、スペインとポルトガルがカリフォルニアの減産をカバーするほどの増産となる見通しで、世界的な需給バランスには問題はなさそうだ。

――米中貿易摩擦の影響はありますか。

デュアー アーモンドに関しては、特に影響はない。中国はさまざまなルートでアーモンドを買っているが、その中でも主に2つの流れがある。まず米国から香港、ベトナム、台湾など第三国・地域を経由して中国に輸入されるルート。もう一つはオーストラリア産で、米中摩擦が始まった頃から中国で急激に出回るようになった。ただ供給量は限られているため、中国への輸出が増えて国内で足りなくなった分については、オーストラリアが米国から輸入している。カリフォルニア産が中国に直接入るわけではないが、中国向けの輸出減少分はオーストラリアにシフトしたことになる。われわれの業界にとって幸運だったのは、くるみなどと違って中国が必要とする量を供給できる産地が他になかったこと。5、6年前にアーモンドが高騰したときにも中国はその値段でカリフォルニアから買っていたので、関税が上がったとはいえ、当時を考えれば買わない手はないということだろう。

――直近の価格推移はいかがですか。

デュアー 減産予想の発表直後には、ショックで価格が一時上昇した。ノンパレル以外の品種が減産となることで、特定の品種や規格を必要とするユーザーの動きによっては値段が不安定になる可能性がある。その状況で来期へのつなぎに入るので、価格をどう安定させるかが問題だ。去年は最終予想が24億ポンドという非常に大きな数字で価格もそれにひきずられていたが、次第に落ち着いていくというパターンだった。今期はこの22億ポンドという数字が現実になるにつれて、価格が上昇していくことは間違いない。

成長続く日本市場 より良い製品で貢献

――貴社のビジネスの近況を教えてください。

キャンポス 環境的に難しいなかでも、当社のビジネスは順調だ。業界の先駆者として環境に配慮した事業展開をさらに進めるべく、工場内で使う電力を太陽発電により供給したり、高精度の選別機の導入で選別キャパシティを上げるなどして、業務の改善に継続的に取り組んでいる。

――日本市場の可能性について、どうみていますか。

デュアー 当社は進出当初から日本を最優先の輸出先として考えてきたので、近年の実績については非常に満足している。日本のアーモンド市場全体の伸びが7%前後というなかで、デルタインターナショナルを通じた当社製品の販売は昨年に20%以上伸長し、過去最大の出荷ボリュームとなった。このことからも、当社がどれだけ日本を重視してきたかがお分かりいただけると思う。特にこの20年の日本市場をみると、当初はおつまみ向けのミックスナッツやチョココーティングされたアーモンドくらいしかなかったが、この間にさまざまなアーモンド製品が発売され、様相は一変した。これまでの取り組みが実を結んだものと考えており、とてもうれしく思っている。

デルタインターナショナル 工藤和美氏 ホールセールベーカリーからの引き合いや、お菓子の原料としての需要も拡大している。またコンシューマー向けのテーブルナッツとして当社では「くだもの屋さん」「ロカボナッツ」シリーズの他に専門店のPBも手掛けており、いずれも好調な売れ行きをみせている。

――日本の消費者や業界へのメッセージをお願いします。

キャンポス これだけ日本市場での販売ボリュームが増えた今こそ初心に立ち返り、お客さまのニーズに寄り添って、より良いアーモンドの供給に努めていきたい。デルタとは、アーモンドを通じて25年以上にわたるパートナーシップがある。日本における窓口として一層コミュニケーションを強め、日本の皆さまに、さらにお取り扱いいただけるよう努力していく所存だ。