味の素AGF 価値創造による市場活性化に意欲 新商品・リニューアル品、大規模投入

味の素AGF社は17-19年度中期経営計画の最終年度となる今期(3月期)、“高品質で高収益なスペシャリティ企業を目指す”を引き続き基本方針に掲げ、“AGFスペシャリティの徹底追求”と“市場創造へのチャレンジ”を柱とした製品開発・マーケティング活動を展開していく。

AGFスペシャリティとは、冷水でも溶けやすいパウダーをつくるアグロマート製法や新鮮な果汁感などを高める成分をカプセル化するフレッシュエンハンサー技術などを意味する。

7月4日本社で発表した品田英明社長は「休息(Rest)・やすらぎ(Relaxation)・気分一新(Refreshment)の3Rと健康的な生活に貢献する多様なライフスタイルに向けたさまざまな飲用シーンや食とのマッチング提案を強化しており、今回発表する新商品もこの方針に沿ったもの」と説明する。

第1四半期(4-6月)の出足は堅調に推移。〈ブレンディ〉スティックアイスオレシリーズとパーソナルインスタントコーヒー(スティック入りブラックコーヒー)がともに4-5月、前年同期比42%増の売上げを記録したことが全体を牽引した。

「他社も同じだと思うが、10連休前に若干の特需があり、2ケタ増以上の注文をいただいた。その後、順調に消化し在庫はほぼ正常に戻り4-6月トータルでみると家庭用も業務用も前年を上回った」と振り返る。

健康に貢献 ポリフォノール訴求とオトナ給食

19年度取り組みとして品田社長が挙げたトピックスの1つは“製品やキャンペーンを通じて健康的な生活へ貢献”であり、ここに向けてはポリフェノール訴求と「オトナ給食」キャンペーンで対応する。

全日本コーヒー協会(全協)の調べによると、ポリフェノール認知率は94.8%あるものの、ポリフェノールと聞いて想起される飲料の設問には、ワインの回答が66.6%だったのに対しコーヒーは9.9%となった。

これを受け「全協とも意思疎通を図り、コーヒーにポリフェノールが入っているという事実を業界あげて伝えていく」との考えの下、夏からの新商品や改訂品のパッケージに“毎日手軽にポリフェノール訴求”などの文言を記載する。

「オトナ給食」は、冷たい牛乳にもそのまま溶ける〈ブレンディ〉インスタントコーヒーからの新提案で、プラス1杯のカフェオレで女性にうれしい栄養素が補える食事メニューを特設サイトなどで紹介している。食事メニューは管理栄養士の奥田千晶氏監修の下、バランス良く栄養が摂取できるとされる学校給食をヒントに開発された。

スティックの新商品群(ブレンディ)
スティックの新商品群(ブレンディ)

カフェオレ1杯には、女性に不足しがちな8つの栄養素のうち6つ(カルシウム・カリウム・マグネシウム・ビタミンA・ビタミンD・ビタミンB1)が含まれる。1日1杯の飲用でそれぞれの不足量を補い推定平均必要摂取量に近づけることができることをSNSと店頭で伝えていく。

エリアと現場に密着

19年度取り組みのもう1つのトピックスは“エリア・現場での密着取組みによる市場創造へのチャレンジ”で、売場では〈ブレンディ〉スティックと〈クノール〉カップスープやビスケットとのコラボ、〈ちょっと贅沢な珈琲店〉レギュラー・コーヒーと洋菓子とのコラボを展開。エリアやギフトのアソートでも他社コラボや地域貢献による提供価値向上を図っている。

〈ちょっと贅沢な珈琲店〉レギュラー・コーヒーのエリア限定品「九州まろやかブレンド」と「東北コクゆたかブレンド」
〈ちょっと贅沢な珈琲店〉レギュラー・コーヒーのエリア限定品「九州まろやかブレンド」と「東北コクゆたかブレンド」

「売場では食提案の一環として各エリアでさまざまなコラボを丁寧に進めており、いろいろな形でコーヒーをはじめとする嗜好飲料を楽しんでもらうことを強化している。中元・歳暮ギフト市場は縮小しているが、この夏もポーションコーヒーのギフトが大変ご好評をいただいており、歳暮期に向けた新商品もかなり強化した。ギフト市場を活性化させたいという思いがある」と意欲をのぞかせる。

レギューラーコーヒー新戦略 北海道の喫茶店「森彦」とタッグ

秋冬商戦に向けて、レギュラーコーヒー(RC)と約6割のシェアを握るスティックカテゴリーを中心に付加価値戦略を加速させる。

RCの新商品開発にあたっては、生活者のコーヒーに対する多様化・多極化・本物志向をとらえ、日本各地の喫茶店文化や独自のこだわりを持つローカルロースターに着目した。

レギュラーコーヒーの新ブランド「森彦の時間」
レギュラーコーヒーの新ブランド「森彦の時間」

その上で、AGF調べでRCの飲用杯数が最も多いとされる北海道で喫茶店「森彦」など13店舗を営むアトリエ・モリヒコに目を付け、協業を打診して新ブランド「森彦の時間」の立ち上げに漕ぎ付けた。

これを監修するアトリエ・モリヒコの市川草介代表取締役は「AGFさんに森彦を“一本釣り”していただき、その熱意に打たれた」と語った。

一方、品田社長は「森彦」の選定理由について「森彦さんはブレンドにこだわりを持ち、コーヒーを飲む空間や時間を大事にしている。これは企業スローガンに掲げる3Rにものすごくマッチする」と述べた。

「森彦の時間」のラインアップは、深煎りの「森彦ブレンド」、中煎りの「マイルドブレンド」、浅煎りの「アフリカン・ムーンブレンド」の3種類。市場想定売価は180g粉タイプが700円、ドリップコーヒー(一杯抽出タイプ)5袋が500円と高めの価格帯を狙う。

古賀大三郎リテールビジネス部長(味の素AGF)
古賀大三郎リテールビジネス部長(味の素AGF)

「世界観をブランドでつくり上げていくことがものすごく重要。そのためにパッケージにもこだわって監修してもらった。1、2年の間に売場で棚一段すべてとることを目指していく。現在、地道に一緒に育ててくださる流通さまと丁寧に商談を進めているところ」(品田社長)という。

加えて「森彦さんとのタイアップを生活者により実感してもらえるイベントやコミュニケーションも考えている」(古賀大三郎リテールビジネス部長)。

RCはそのほか〈ちょっと贅沢な珈琲店〉レギュラー・コーヒーを改良し、エリア限定品としては「九州まろやかブレンド」に続き「東北コクゆたかブレンド」を新発売する。

スティック 新サブブランド創出

AGF調べによると、スティック嗜好飲料市場は、中期的に拡大しているが、18年度は気温高と大容量の低単価販売を主要因に金額ベースでは横ばいで着地し、価値増強による市場活性化が課題となっている。

金額ベースで同市場の6割弱のシェアを握るAGFはこの秋冬、スティックユーザーそれぞれのニーズに合わせた商品を発売することで、スティック嗜好飲料市場の価値を増強し市場の再活性化を図っていく。

「20年近くかけて付加価値カテゴリーとして流通さまと育ててきたスティック市場をレッドオーシャンにしたくない。いろいろな人の嗜好に合ったものを出し切れていないことが深掘りするほど分かってきた。今回、その1弾として発売し、来年以降もスティックカテゴリーを“あっと”驚せるような社会に貢献できる商品を出し、この市場をもっといい方向に持っていきたい」(品田社長)との考えを明らかにする。

第1弾となる秋冬に向けては「スティックを買われるお客さまを徹底的に深掘りした。お客さまのさまざまなニーズやウォンツにきめ細かく対応した商品を発売していく」(古賀部長)。

スティックの新サブブランド〈ブレンディ ロースターズ&〉
スティックの新サブブランド〈ブレンディ ロースターズ&〉

この考えを象徴するのが新サブブランド〈ブレンディ ロースターズ&〉で、厳選豆を丁寧に淹れたコーヒーに甘さを加えずコーヒーの風味を引きたてるミルクだけを少量加えた点をコンセプトとしている。

「コーヒーの品質、時間、空間を提供するロースターの思いをスティックに込めた。商品名の“&”についてはロースターのこだわりをさらに超えた品質へのこだわりを意味する。具体的には、従来の〈ブレンディ〉や〈ブレンディ カフェラトリー〉では使っていなかったフリーズドライコーヒーを使用している。フリーズドライはスプレードライよりも高品質となる」。

〈ブレンディ ロースターズ&〉のコミュニケーションは岩田剛典さんを起用しSNSや動画配信、消費者キャンペーンなどを展開していく。

既存のスティックブランドでは、〈ブレンディ〉スティックシリーズからは「とろけるミルクカフェオレ」「紅茶オレ 糖質オフ」の2品、〈ブレンディ カフェラトリー〉スティックシリーズからは「濃厚ヘーゼルナッツラテ」「濃厚ほうじ茶ラテ」「濃厚ジンジャーミルクティー」「濃厚クリーミーカフェラテ デカフェ」の4品をそれぞれ新発売する。

〈ブレンディ〉スティックの既存品はすべてのアイテムを刷新。コーヒー系はすべて中身に磨きをかけコーヒー感の引き上げとミルク感・ボディ感の向上を図った。一方、「紅茶オレ」「ココア・オレ」「抹茶オレ」のノン・コーヒー系もエンハンサー技術を導入・強化して品質を向上させた。

〈ブレンディ〉インスタントコーヒー(IC)は、市場がゆるやかに縮小する中、パーソナルIC(スティックタイプのブラックコーヒー)に注力していく。

AGF調べでパーソナルIC市場は5年間で約2.5倍に成長し18年度は18.6億円と推定。この中で同社商品群は約半分のシェアを握りトップとなっている。

その旗艦アイテムの〈マキシム ブラックインボックス〉はパーソナルIC市場で単品売上げNo.1となっている。

今回は、同商品のエクステンションとして「ロースト・アソート」を新発売する。「ロースト・アソート」は焙煎度によって異なる風味特徴を生かし、独自のコーヒーアロマを添加することで複数の高品質のブラックコーヒーを実現。「浅煎り-アロマ」「中煎り-バランス」「中深煎り-ダーク」「深煎り-ディープ」の4種類をアソートしている。

そのほか「ちょっと贅沢な珈琲店」からもパーソナルコーヒーを新発売し、袋タイプのICでは「〈ブレンディ〉エスプレッソ袋140g」を新発売する。