持続可能なパーム油目指し「JaSPON」設立 小売、メーカーなど18社参加

小売、消費財メーカー、NGOなど18社/団体は11日、パーム油生産における環境面などさまざまな問題を解決することを目指し、「持続可能なパーム油ネットワーク(JaSPON)」を立ち上げた。立ち上げ会見では初代会長に就任したイオンの三宅香氏があいさつ。会員社であるサラヤ、太陽油脂、味の素が自社の活動や持続可能なパーム油の調達と消費についてプレゼンをした。

冒頭あいさつで三宅氏は次のように述べた。

「パーム油に限らず50年、100年にわたって持続可能な環境や原料素材などに消費者が関心を持ち始めている。最近は投資家サイドからも持続可能なサプライチェーンマネジメントを評価し始めている。日本は欧米より一歩出遅れている感はあるが、パーム油に関してはほとんどの供給がインドネシアから来ていることと、日本も大量に消費している現状から積極的に取り組まなければと思う。今回、18の企業や組織で課題に向かってスタートする。こうした社会問題は1社では解決できない。一産業界でもできない。消費者の参画も必要である。われわれのような小売だけでなく、メーカー、一次産業、NGOの参画も重要になってくる。初年度は各社とネットワークを広げて責任ある調達を目指していきたい」。

そもそもパーム油は世界で一番利用されている植物油で、インドネシアとマレーシアの2か国に世界全体の生産量の約85%が集中している。これらの国々では、パーム油を生産するため1980年代以降、アブラヤシ農園の開発が急速かつ大規模に進められてきた。

その結果、熱帯林の破壊や泥炭地開発に伴う大量の温室効果ガス排出など環境面の問題だけでなく、農園における強制労働や児童労働といった人権問題も指摘されている。

これらの課題解決の一助とすべくパーム油の消費国として日本の果たす役割は大きく、業界の垣根を越えてメンバーが協働し、それぞれの立場でも取り組みを推進することが重要と考えられている。そのためJaSPONの設立目的はメンバー間のさまざまな活動を通して、RSPO認証の持続可能なパーム油の調達と消費を産業界全体に促すことにある。多くのステークホルダーがプラットフォームに参加し、持続可能なパーム油の調達と消費の促進に向けて協働することを目指す。

〈主な活動内容〉
①持続可能なパーム油の調達に関する情報収集および情報提供②持続可能なパーム油の調達と消費を促進する活動③メンバー相互の情報交換、メンバーのための情報提供
④外部組織に対し、日本のステークホルダーの意見をまとめ交渉する窓口⑤その他必要な活動。これらの活動を通し目的達成を目指す

〈発足メンバー〉味の素、イオン、エスビー食品、花王、グリーン購入ネットワーク(GPN)、Control Union Japan、サラヤ、資生堂、西友、世界自然保護基金ジャパン、ダーボン・オーガニック・ジャパン、太陽油脂、日清食品ホールディングス、日油、ボルネオ保全トラスト・ジャパン、明治、森永乳業、ライオン